二学期終了
まだ９ヶ月足らずではありますが、「光陰矢の如し」「少年老い易く学成り難し」ですね。諸君もだいぶ高校生らしくなってきました。一方、授業の内容も難しくなってきて、
中学校までの学力に頼っていられない状況で、一学期と比べると成績の上と下の入れ替えがかなり起こっているようです。
教室に貼ってある上位者のリストを見ると、普通クラスの人がかなり上位を占めてきて
いるのがわかります。私の印象としても、普通クラスの生徒のほうが、謙虚に努力してい
るように感じます。それに対して特に８組は、"打算的な" 思惑で勉強している人が多い
のではないでしょうか。
スマホ長時間、成績に悪影響＝仙台市教委と東北大が調査
時事通信社 2013年12月18日(水)14時56分配信
このような見出しのニュースがありました。ＮＨＫのニュースでも報じられました。
今年の４月、仙台市立中学の生徒２万３９１９人を対象に、４教科の学力検査と、アン
ケートによる生活・学習状況調査を基に分析した結果です。数学の得点について文章で書
いてあることを表にしました。空欄は、記事で伝えられていないところです。スマホ使用
時間が１時間以上になると得点は下がると書いてあります。
もっと詳しいデータを知りたくて仙台市教育委員会や東北大学のページを探してみまし
たが、残念ながら見当たりませんでした。
ゲーム機やパソコンも同様で、国語、社会、理科も同じ傾向だということです。
調査に携わった東北大学の川島隆太教授は脳科学が専門で、３年前には朝食と幸せ度の
関係という調査も発表しています。今回の調査で教授は、電子機器の長時間利用が脳の働
きを混乱させ、集中力も下がると指摘、「使用は１日１時間以内を意識してほしい」と話
していると記事にはあります。
諸君は上の表のどこにいますか？ 「あんなに勉強したはずなのに点が取れなかった」
という人もかなりいるのではないでしょうか。そういうひとは、自分の生活を振り返って
みてください。
物理的な時間の使い方というだけではなく、教授も指摘しているように、生物としての
脳の使い方というところに諸君は注目すべきです。
10分の休み時間すらもスマホを見ずにおれない、見ないと落ち着かないというのであれ
ば、それは明らかに中毒症状が出始めていると見て良いと思います。
諸君は自分の行動を "自分で" でコントロールしていると思っているでしょう。いざと
なったら "自分で" ちゃんとできる、と思っていませんか？ その "自分" とはいったい
何ですか？
それは間違いなく脳です。つまり、脳が脳をコントロールしているということになりま
す。その脳が正常な働きをしなくなったら、もはや "自分で" 何とかしようとしても大変
困難です。
成長過程において本来成長しなければならない脳の部分を成長させずに（使わずに）大
人になってしまうと、成長過程の時間を戻すことは不可能ですから、おそらく手遅れとい
うことになるのではないかと、私は心配しています。あとからまとめて帳尻を合わせよう
ということは、生物の成長についてはほとんど不可能です。我々は生物なのです。
成長過程に合わせて適切な刺激を脳に与えることが必要です。そしてその刺激を与える
役割を担っているのが学校なのだと思います。
スマホによってそうした適切な成長が妨げられていることは明らかです。そうした状態
でいる時間は短ければ短いほど、本来の姿に戻り易いはずです。そんなところを意識して、
できるだけ早いうちにスマホとの距離をもっと大きくする努力をしてください。
「まだ大丈夫は もう危ない」 あ、これは交通標語でしたね。
おもてなしと異文化への思いやり
今年の重大ニュースのひとつとして、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定」があります。決定が決まった直後、こんなニュースが目に留まりました。（９月13
日産経新聞）
ニュージーランドの先住民マオリの女性が、北海道のある町で行われた先住民族の言語
を学ぶ会合に招かれたのですが、そこの温泉に入ろうとしたら、口元や額にマオリの伝統
的な入れ墨が入っていることを理由に入浴を断られたというのです。
この入れ墨は反社会的なものではないと説明しても、施設側は、入れ墨の入っている人
は一様に断っている、一般の客はその入れ墨の背景は分からないとして受け入れなかった
そうです。
彼女は取材に対して「とても驚いた。東京五輪ではニュージーランドから同じような入
れ墨をした選手がたくさん来る。日本人は自分たちと異なる文化に思いやりをもってほし
い」と話しています。また、「入れ墨は家紋のようなもの」「施設では、入れ墨はファッ
ションだと言われた。そのことに怒りを感じている。」とも話しています。
諸君はこの話を読んでどう考えますか？ 小論文の練習ネタにすると良いでしょう。
20日、訪日外国人が年間1000万人を突破しました。マオリの女性もこの中の一人です。
オリンピックに限らず多くの外国人が日本を訪れ、日本は「お・も・て・な・し」としき
りに言っていますが、どう「おもてなし」すればよいでしょうか。客の要求をすべて受け
入れることなのでしょうか。日本の文化との折り合いはどうつければよいでしょう。
この例の場合、この入れ墨はＯＫ、あっちはダメという判断は不可能です。また、すべ
てＯＫでは、不快感を持つ日本人は必ずいます。しかし、入れ墨を規制していない施設を
探すとか、一般客と時間を分けてもらうなど、互いに工夫し合う余地はありそうです。
よいお年を！ １月８日にまた会いましょう。