あと３週間ほどで新学年です。みんな、２階に行けるでしょうか。
さて、本紙は２ヶ月の間が空いてしまいました。戦後70年ということで、本紙で書きた
いことがたくさんあるのですが、なかなか手が回りません。（弁解）
この話題は、当然のことですが、日本だけの問題ではありません。
戦後処理 〜ドイツと日本の違い
９日、ドイツのメルケル首相が来日しました。ドイツも先の大戦における敗戦国で、ナチスによるユダヤ人大量虐殺（ホロコースト）の重い歴史を背負ってきました。メルケル
首相は、安倍首相との会談後の共同記者会見で、ドイツの戦後の取り組みについて、「過
ちを透明性をもって反省した」と述べました。
朝日新聞社主催の講演会での質疑応答では、次のように述べています。
『ドイツは幸運に恵まれました。世界がドイツによって経験しなければならなかったナ
チスの時代、ホロコーストの時代があったにもかかわらず、第２次世界大戦後、私たちを
国際社会に受け入れてくれたという幸運です。どうして可能だったのか？ 一つには、ド
イツが過去ときちんと向き合ったからでしょう。当時ドイツを管理していた連合国が、こ
うした努力に非常に大きな意味をくみ取ってくれたからでしょう。そして、全体として欧
州が、数世紀に及ぶ戦争から多くのことを学んだからだと思います。』
『さらに、当時の大きなプロセスの一つとして、独仏の和解があります。和解は、今で
は独仏の友情に発展しています。そのためには、ドイツ人と同様にフランス人も貢献しま
した。かつては、独仏は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵といわれました。恐ろしい言葉です。
世代を超えて受け継がれる敵対関係ということです。幸いなことに、そこを乗り越えて、
お互いに一歩、歩み寄ろうとする偉大な政治家たちがいたのです。しかし、それは双方に
とって決して当たり前のことではなかった。隣国フランスの寛容な振る舞いがなかったら、
可能ではなかったでしょう。そして、ドイツにもありのままを見ようという用意があった
のです。』
この中の「過去ときちんと向き合う」「ありのままを見る」をキーワードとして、日本
もあの戦争の総括をしなければならないと思います。
もう12年前になりますが、私がドイツへ研修旅行に行ったときのことを改めて思い起こ
しました。そのときの報告書の一部を掲載しておきます。
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明治４（1871）年11月12日（陽暦12月23日）、岩倉具視(ともみ)を特命全権大使とし、
31歳の伊藤博文や津田塾大学の創設者、当時８歳の津田梅らを含む総勢100人を越す岩倉
使節団一行は横浜を出航、サンフランシスコ、ワシントン、ロンドン、パリ、ブリュッセ
ル、ハーグを次々に訪れ、ドイツのエッセンを経て、1873年３月９日、ベルリンに到着す
る。一行はそこで、ドイツ帝国の初代皇帝ヴィルヘルム１世と首相ビスマルクとの晩餐会
に招かれ、「外交は弱肉強食、万国公法は大国に有利で、不利となれば武力で対抗する」
という、２年前にフランスを敗り、ドイツ帝国を成立させたばかりのビスマルクの率直な
スピーチに感銘を受けた。ワシントンで不平等条約の改正に失敗した使節団にとって、ま
さにこれからの日本の舵取りの方向を感じ取ったのである。
一方、使節団ならぬ我々派遣団は、成田からフランクフルトを経由してハンブルグへ。
そこで、ウーヴェさん、ユキコさん、イクさん（注：現地のスタッフ）とお会いし、用意
してくださった大型バスでキールへ向かった。ヒトラーが作ったアウトバーンの途中、の
どかな田園風景の中で、牛や馬、そして虹までもが我々を出迎えてくれた。
◆◆◆キールとナチス
キール２日目の午後、キールの歴史研究会に所属するコルモーゲン氏の案内で、キール
におけるユダヤ人迫害やナチスによる統制のようすの跡を見てまわった。この研究会は、
ナチス関係者の最後の裁判がキールで1980年から81年にかけて開かれたのを機に、事実を
きちんと知ろうという歴史研究家たちが集まって作ったもので、政治とは完全に独立して
いるということである。
キールでの本格的なユダヤ人迫害は、1933年３月31日に、市内のユダヤ人の店の一覧表
とともにボイコットを呼びかけるビラが配られ、その日のうちにそのほとんどが、ボイコッ
トどころではなく襲撃されたということから始まる。ユダヤ人迫害が、警察などではなく
一般市民自らによっても行われたことが、戦後、戦争責任について考える際のドイツと日
本の大きな違いになる原因のひとつであろうと改めて感じた。
この違いについては、３日後にウーヴェさんのお兄さん、シュレーダー氏がエルムシェ
ンハーゲン・ギムナジウムで行なった講義でも指摘された。つまり、日本では自国民の犠
牲者を悼むことが主だが、ドイツでは他国民、他民族の犠牲者を慰霊することに力を注い
できたというのである。
さて、その当時、ドイツのポーランド侵攻を非難し、ユダヤ人迫害で将来ドイツは世界
から蔑(さげす)まされることになると、まさに戦後のドイツを見透かしたような内容の意
見を新聞社に投書した74歳の男性教員が、その新聞社の編集長が警察に通報したため捕ら
えられたことや、父親に内緒で若者の反ナチグループ「スウィング」に所属していて捕え
られた17歳の少年のこと（父親がナチス党員であったために数ヶ月の刑で済んだ）、また、
アメリカから伝わってきた平和主義の宗教に入り反ナチのビラを配って１年半の禁固刑の
のち、自宅から強制収容所に連行されたまま消息を絶った女性について、その住居だった
アパート前で話を聞き、1918年の水兵の反乱と一緒に行動した労働組合の建物の前では、
その建物がナチスに摂収されたという話、という具合に、当時の新聞や書類のコピーも使っ
た説明を聞きながらそれらの場所を回った。
第１次大戦末期、ドイツの敗戦が決定的になってからの軍の出動命令に反発したキール
の水兵の反乱がキッカケでドイツ革命が起こり、明治憲法の手本だったプロイセン憲法か
らワイマール共和国憲法になり、ワイマール憲法にある大統領緊急令の機能が利用されて
独裁者ヒトラーが生まれたことを考えると、キールはヒトラー独裁への流れの原点ともい
えるのかも知れないが、もちろん、当時の水兵や労働者たちには何の責任もない。
コルモーゲン氏は、実に落ち着いた調子で事実だけを淡々と述べていたことが印象深い。
感情を込めて話されるよりも、かえって聞く者の心に重く響く。当時の悲惨さを訴えるだ
けでなく、現代ドイツ人の過去との向き合い方を示しているようだった。
◆◆◆ベルリンにて
ベルリンの自由行動では、ヒストリー・オブ・ベルリンという展示場と技術博物館の２ヶ
所を私一人でたっぷりと見た。
宿泊ホテルのあるハーデンベルグ通りから２本南のクアフュールシュテンダム通りに面
するヒストリー・オブ・ベルリンは、タイムトンネルという趣向になっており、受付で手
渡された日本語の説明書を見ながらベルリンの各時代について写真や模型、マルチメディ
アを駆使して展示された小部屋を見て回る。
ベルリンは、1237年10月28日のジャガイモ畑から始まったそうで、その後、市場から商
業都市へ変わり、17世紀の30年戦争でベルリンにはいろいろな宗教とともにフランスのブ
ルジョワの華やかな生活も入ってきて、ベルリンは首都に相応しい文化の中心として発展
していき、ベルリンの歴史はそのままドイツの歴史に重なっていく。
やがて、富国強兵政策で重化学工業が発展し、領土的野望もふくらんだが、第１次大戦
では大敗を喫し、莫大な賠償金が課せられ、ドイツはどん底に落ちる。そこへゲルマン民
族の優位性を説くヒトラーが大衆の圧倒的支持を得て台頭する。ナチス時代になったとこ
ろで、展示場の狭い階段を降り、共和制時代などの本が道端に投げ捨てられてある路地を
模した廊下を歩くうちに、壁は灰色からほとんど黒に変わっていく。当時のアパートの窓
は固く閉ざされ、部屋の中も貧しく薄暗い。
終戦後、米・英・仏に統治された方は豊富な物資が流れ込んでくる。ソ連側との経済的・
思想的格差は開く。そして壁。こうした展示のあと、最後にベルリンの壁が壊されたとき
の感動を伝える各国のニュース映像を見せられたときには不覚にも涙が溢れ、しばらくそ
こから動けなかった。
この展示場には高校生くらいの十数人のグループが来ていたが、一生懸命メモを取りな
がら見ている者や、各小部屋の入口付近でスッと見回すだけで行ってしまう者など、こう
いうところは日本の高校生となんら変わりはないと思った。
次は、２時間近く東へ歩いて技術博物館。国鉄のヨークシュトラーセ駅の北にある操車
場の一角、ランドヴェール運河に面したところにあって、建物の屋上には、かつて西ベル
リンへ物資を輸送した米軍の輸送機が展示されており、外からでも人目を引く。
ここにも、高校生くらいや小学生くらいのグループのほか、平日にもかかわらず、親子
連れも目立った。
製紙、製糸、紡績から、電話、ラジオ、レ
コード、テレビ、コンピュータ、機関車、発
電機、はては、なぜか毛髪とヘアスタイルの
研究に至るまで、「技術」に関するあらゆる
ものが誇らしげに展示されている。
日本は、明治時代にドイツから発電機を購
入した。これが50ヘルツある。関西ではアメリカから60ヘルツの発電機を輸入した。東西
の電力周波数の違いの原因である。
機関車の格納庫に実物の蒸気機関車や電気機関車がぎっしり並べられているところは、
まさに重厚長大そのものである。
帰路、夕方５時近くにカイザー・ヴィルヘルム教会の横を通ったとき、老若男女のいく
つものグループが広場で過していた。パンク・ファッションの数人の若い男女がはしゃぎ
合っており、20ｍ程離れたところには真面目そうな高校生くらいの女子２人が、パンクた
ちの騒ぎを横目で気にしながら広場から歩道へ下りる階段に腰をおろしていた。これまで
の行程でこうした若者の姿が街なかで見られなかったので、この光景を見てなぜかホッと
した。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
右の写真は、ドイツ・ベルリン郊外のポツダムにある
ツェツィーリエンホフ宮殿で、ドイツ帝国最後の皇太子
ヴィルヘルムの一家が住んでいたところです。
ドイツが1945年４月に連合軍に降伏したあと７月17日
から、トルーマン米大統領、チャーチル英首相、スター
リン・ソ連首相の３首脳が集まり、ドイツの戦後処理と
日本の降伏条件が協議され、26日、日本に対するいわゆ
るポツダム宣言が発表されました。当時、日本とはまだ
交戦状態でなかったソ連はポツダム宣言には入っておら
ず、蒋介石(しょうかいせき)・中国主席の同意を得て発
表されました。
写真の三角屋根で窓の出っ張った部分がポツダム会談
の行われた部屋の外観です。中は撮影禁止になっていま
す。直径３ｍ程の円卓に３ヶ国の国旗が置かれていまし
た。ここにあの３人が座ってドイツや日本の未来を話し
合っている姿を想像したとき、歴史を追体験したような気持ちになりました。
当面の予定
３／14(土) 卒業式16(月)・17(火) 答案返却日（午前中特別時間割）
18(水)・19(木) 球技大会
20(金) スタディサポート（数学・英語・学習状況リサーチ）
23(月) スタディサポート（国語・カード記入）・教科書購入
24(火) 校外学習
25(水) 修了式
26(木)〜４／５(日) 春休み
４／６(月) 始業式