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高校最後の夏 　本紙が２ヶ月以上も間隔をあけたのは初めてです。 　そんなに忙しかったのかというと、そうでもないような、あるような。本紙執筆の時間 がそっくりそのまま合唱コンのビデオ編集の時間になったという感じです。 　ビデオ編集ソフトを合唱コンが終わってから購入したので、いろいろテストしてみる時 間もなく、あまり凝った機能までは使えませんでしたが、昨年よりはかなりレベルアップ したでしょ？　ＤＶＤプレーヤーとの相性によっては、途中で止まってしまうこともある ようです。そのようなときは、冒頭のチャプター選択画面から飛ばしてみてください。そ れでも再生できないときはディスクを交換しますので、遠慮なく申し出て下さい。もし普 段からＤＶＤ−Ｒを使っているようなら、そのメーカーも教えてください。 ◆８月25日付けで本紙が発行できるのは今年しかチャンスがないので、ここは外すまいと ずぅ〜と思っていながら、原稿を書き始めたのは６日前になってからです。 　今年しかチャンスはない、もう外すわけにはいかないという話が、８月15日にもありま した。小泉首相はその理由を「８月15日を避けても、いつも批判、反発が起きる。…いつ 行っても同じならば、今日が適切な日だと判断した。」と述べました。"ぶら下がり取材" としては珍しく、とても分かりやすく丁寧に話しました。もっとも、「多くの方々が８月 15日だけはやめてくれと言っていて、そういう方々の意見も聞かなきゃいかんなというこ とで」これまでは別の日に参拝してきた、と述べていますから、首相には、参拝しないと いう選択肢はないことがわかります。 ◆15日の午前、靖国参拝後の首相の会見を生放送しようと、各放送局は待っていたのです が、予定の時間を15分近く過ぎても首相は現れず、予定の番組を変更した民放はヤキモキ していました。ＮＨＫは悠然と甲子園中継です。そして、私が見ていた民放が待ち切れず にＣＭに入ったところでチャンネルを切り替えて見た範囲では、民放２局はＣＭ、もう１ つの民放に首相の姿が映りました。前の２つの民放に戻してもＣＭのまんま、そしてＮＨ Ｋに切り替えたら、当然のように会見の中継になっていました。 　私は思いました。やはり、ＣＭのないＮＨＫは必要だと。解説者がつなぎのおしゃべり をしながら待たなくても、始まったらすぐに切り替えて放送できるのはＮＨＫだけです。 　1977年、王選手がハンクアーロンの本塁打記録755本と並んで迎えた対阪神戦を、後楽 園球場の放送権を独占している１つの民放は、６時台のニュースの時間でも、王選手の打 席だけ中継に切り替えて、記録の瞬間に "万全を期して" いたのですが、７時から30分間 は何と、野球中継をせず、家族ナンチャラ歌合戦だったかタイトルはよく覚えていません が、視聴者参加の番組を放送したのです。で、な、なんと。その番組が始まって10分ほど で王選手は世界記録の通算756号ホームランを打ったのです。歌合戦の画面の上にテロッ プで流れたのが、非常に空しく感じました。その番組のスポンサーが野球嫌いだったのか も知れません。民放はスポンサーには逆らえません。我々視聴者も、タダで番組を見させ てもらっている以上、文句は言えません。 　無料の雑誌が人気ですが、それらは慈善事業なのでしょうか？　そんなこと信じる人は いないですよね。読者の代わりに営利目的でお金を払っている人がいるのです。記事や情 報そのものが企業や店舗の広告で、読者を巧みに誘導する仕掛けになっています。 ◆私も、小泉首相はあれしか選択肢はなかったと思っています。あれだけ中国や韓国から やめろと言われれば、逆にやめるわけにはいかないでしょう。 　２年前の４月にイラクで、武装グループが３人の日本人を人質にとって自衛隊をイラク から撤退させるよう要求してきたとき、小泉首相は即座にその要求を拒否しました。いっ たんテロリストに弱味を見せればそれ以降、日本人がテロの標的にされやすくなるという ことが最も強く懸念されることでした。つまり、相手に弱味を見せれば足元を見られるよ うになるという心配です。 　しかし日本は、中国や韓国に対しては、テロリストへの対応とは全く逆に、足元を見ら れるような対応をし続けてきました。 ◆1978年に、いわゆる東京裁判でＡ級戦犯として刑を執行された14人が靖国神社に合祀さ れ、翌年そのことが公になったあとも、大平、鈴木、中曽根の各首相が何度も公式参拝し ましたが、中国は問題にしませんでした。ところが、1985年の中曽根首相の参拝から中国 の反発は始まりました。 　なぜこのときからなのか、いくつかの推測がなされています。それまでは中国と当時の ソ連が緊張関係にあって日本を敵には回したくなかったのが、この頃から中ソ間は緊張緩 和の方向に動き、一方、中曽根康弘首相は日米関係強化を目指していたので（当時の米大 統領、ロナルド・レーガンとは "ロン・ヤスの仲" で、中曽根首相は日米首脳会談で、日 本を "不沈空母" にするという発言を行なった）、日米関係にくさびを打ち込みたかった とか、日本の経済進出などで中国内に政府への不満がたまり始めていたなど、理由はいろ いろでも、中国は日本に対しては戦略的に歴史問題を外交カードに使ってきたことは事実 です。韓国はそれに追随してきました。 　中国に批判された翌年から中曽根首相は靖国参拝をやめました。その後、小泉首相以前 は橋本首相が８月15日ではないけれど１度参拝しただけという状態になりました。 　「戦争責任」と言えば日本は引っ込む。まるで子供が何度もかたつむりの目や角をつつ いて、そのたびにかたつむりがヒューと目や角を引っ込めるのを楽しむかのようです。日 本は引っ込むだけでなくカネを出すのですから、こんな楽しいことはありません。 　それに対して小泉首相はかたつむりではなかった。しかも、中国へのＯＤＡ（政府開発 援助＝Official Development Assistance）も北京五輪以降、新規のものはやらないこと で日中で合意はしましたが、中国はおもしろくありません。それでかどうか、参拝をやめ なければ小泉首相と会ってやらないと言ってしまったのですが、これが意外なことに、欧 米からの評判を落としてしまって、中国はかなり焦ったようです。政府高官なら会うなど、 トーンダウンしました。 ◆いわば "小泉を相手とせず" ということで、かつて盧溝橋事件で始まった日中戦争で、 蒋介石の国民党政府が中国共産党と手を組み（第２次国共合作）、首都を南京から内陸の 重慶へ移しながら長期戦への構えを見せたとき、日本の近衛文麿首相が「（蒋介石の）国 民政府を対手(あいて)とせず」と声明を出して、日中戦争を引き返せないものにしてしまった歴史 を想起させてくれます。もちろん今は戦争状態ではありませんが、気に入らなくても外交 チャンネルをしっかり確保しておかなければならないということは、歴史に学ばなければ なりません。 ◆根室のカニかご漁船が日本の領海（ロシアはロシアの領海と考えている）でロシア国境 警備隊に銃撃され、１名が死亡、３名が国後島の施設（いわゆる「ムネオハウス」？）に 拘留されていますが、小泉首相がロシアには無関心であったため、ロシアとのチャンネル がかなり細くなっており、交渉が難航しています。ロシア、というかプーチン政権とのパ イプ作りが次期首相の大きな課題です。 ◆首相が靖国を参拝すると「アジア( ・　・　・ )の人々が傷付く」とか「日本はアジア( ・　・　・ )で孤立する」な どと、中国や中国を支持する日本人がよく口にしますが、靖国問題を外交問題にしている のは中国と韓国だけです。むしろ、日本をアジアのリーダーとして期待してくれる国の方 が多いくらいです。もちろん、個人的に感想を聞けば「いい気持ちはしない」と言う人は 各国にいるでしょうが、それと外交は別です。たった２ヶ国をもって「アジア」というの は、大雑把なのではなく計算された戦術なのです。 　たとえば、広島・長崎への原爆投下は、米国にとっては正義であって、原爆を投下した 爆撃機エノラ・ゲイをスミソニアン航空宇宙博物館に誇らしげに展示しています。見学に くる子供たちはその前でＶサインを出して写真を撮るそうです。米国の学校では、原爆投 下は、あの戦争が長引いたら死んだであろう何十万人もの米兵と日本人を救ったのだと教 え、米国民のほとんどがそれを信じている、あるいは支持しているのです。そこへ、日本 の被曝者が博物館に原爆の写真の展示を申し入れましたが、特に退役軍人から猛反発があ り実現できません。しかし、日本政府は、あの原爆投下を正義と言うのはけしからんなど ということは、外交の場では言いません。 　もしも、靖国批判を中国や韓国の民間人だけで冷静に続けてきたなら、そして、政府ど うしはそれとは別の次元で外交を続けてきたならば、中曽根首相は参拝をやめなかったか も知れませんが、逆に小泉首相の行動が変わっていたかも知れない、中国や韓国は戦術を 誤ったと、私はふと思うのです。 ◆さて、もし次期首相が靖国参拝をしない（と約束する）ならば、日中・日韓関係は "改 善" されるのでしょうか。中国は、海底ガス田の生産を中止してくれるのでしょうか。あ るいは、日本の採掘に反発しなくなるのでしょうか。韓国は竹島から引き揚げてくれるの でしょうか。竹島近海での日本の漁業権を認めてくれるのでしょうか。日本の国連安保理 常任理事国入りに賛成してくれるのでしょうか。反日教育はやめてくれるのでしょうか。 日本の教科書に口ははさまなくなるのでしょうか。関係改善とは、どういう状態を言うの でしょうか。まさか、以前のように、日本が中国・韓国の言い分を一方的に受入れる関係 ではありますまい。 　当の日本人は、それでアジアからの孤立は避けられたと安心するのでしょうか。国内の 世論も落ち着くのでしょうか。自信を取り戻せるでしょうか。日本人は日本を誇りに思え るようになるでしょうか。 ◆今回の小泉首相の靖国参拝についての各種の世論調査の結果が報じられていますが、ど れもだいたい、首相を「支持する」と「支持しない」が45％前後でほぼ桔抗した結果になっ ています。ＮＨＫの年代別の調査では、70代以上と20代で「支持する」が過半数になって いるそうです。支持する理由は、70代以上の人は「犠牲者を追悼してくれたから」に対し て、20代は「中国や韓国の言いなりにならなかったから」ということだそうです。 ◆８月10日に中国で発売された本「江沢民(こうたくみん)文選」には、1998年に江・中国国家主席（当時） が、外国に駐在する中国の外交官たちを集めた会議で「（日本に対しては）歴史問題を始 終強調し、永遠に話していかなければならない」と外交官たちに指示していたということ が書かれているそうです。今の胡錦濤(こ　きんとう)政権は基本的には江沢民路線の継承者であり、今後 も歴史カードを次から次へと切ってくると思われます。 ◆私は夏になるといつも思うことがあります。もし、終戦記念日を夏休み中の８月15日で はなく、降伏文書に署名した９月２日と決めていたら、きっと平和教育や歴史教育のあり 方が大きく違っていて、日本人としての意識も違っていたかも知れないと。 　今は、終戦記念の各種セレモニーや討論会に学校が関わらずに済んでいます。しかしも し、今、そうしたイベントを50年前から９月２日にやっていたとすると、少なくとも、か つて日米が戦争をしたことすら知らないという若者は存在し得なかったでしょう。そして、 若者にきちんと語り継ぐことができていれば、もっと早く、今頃はあの戦争の総括ができ ていたことが期待できます。あるいは、９月２日が祭日になった可能性もあります。それ でも、子供の頃に毎年学校で「あすは終戦記念日です」と聞かされて迎えてきた場合と、 今のようにお盆休みの行楽にかき消されて全く気付かない間に過ごしてきたのとでは、意 識の持ち方は当然変わるでしょう。 ◆ともかく今は、あの戦争の話を次世代に引き継げなくなってきています。日本が戦争を したことすら知らない人達が増え、そうした人達が、中国や韓国の宣伝で初めて知らされ るとどういうことになるか。２年前に本紙で紹介した、1995年に中国の李鵬(り　ほう)首相（当時） がオーストラリアの首相に言った言葉「日本は20年もしたらこの地球上から消えてなくな る国だ」を思い起こします。日本は中国本土にカネを送り込むための経済特区のような地 域になることを、中国は望んでいるのかも知れません。 　今と変わらない生活をさせてくれるなら、政府が何であろうと関係ないという人も、結 構いるかも知れません。 ◆10年後って、どうなっているでしょうね。ある大手携帯電話会社が、料金が10年後には 最大半額になるという料金プランを宣伝していましたが、無料になるならともかく、10年 も先にやっと半額では全く魅力を感じません。競争の激しい業界、10年後の新規契約や他 社からの乗り換えの方が安い可能性だってあります。 　諸君は20代後半です。自分とその環境の近未来をちょっと想像してみて下さい。 ◆ちょうどお盆休みの週末に、ウチの居間のエアコンが故障しました。月曜日にメーカー に電話すると、１週間ビッチリ、サービスマンのスケジュールが詰まっており、最短でも 来週の月曜日になるとのこと。なんかのＣＭじゃないけれど、２つあってよかった、とい うわけで、もうひとつのエアコンがある寝室のドアを開け、扇風機で寝室の冷気を廊下伝 いに居間に流してしのいでいます。これを機に、エアコンなしで過ごそう、とはなかなか ならないものです。幸い今年は、ひどい猛暑ということもなく、助かっています。 ◆夏休み前に下の子が幼稚園から持ち帰ってきたひと鉢の朝顔が２ｍ以上にもなり、毎日 １〜３個の赤紫の花を殺風景なベランダで咲かせています。 ◆さあ、いよいよ最後のあつぅ〜い季節がやって参りました。この２週間分の 勉強も夏休み中に頑張ったというひともいるようですね。　　　　　　　　��

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