スキー場でのコース外捜索救助費用請求
長野県の野沢温泉スキー場で１月２日(月)午後、スノーボードをしていた男女３人が、滑走禁止区域で道に迷い、翌日午前、県警ヘリに発見され、無事保護されました。
この報道で、いつもと違うことが今話題になっています。
それは、捜索救助費用を３人に請求する方針だということです。
野沢温泉村は、捜索救助費用を弁償してもらうことを盛り込んだスキー場安全条例を
2010年12月から施行しているのです。
このような条例があるのは今のところ野沢温泉村だけで、他のところでは、結局はスキー
場や自治体(税金)が負担することになってしまうとのことです。
さて、このニュースに接して私が思い出したのが、０１３号(2004年７月12日発行)の中
で述べた「遭難の捜索費」です。
あれから８年近く経ちますが、やはり警察のヘリコプターなどは航空法の事業用認可を
とっていないので無料にせざるを得ないという状態に変化はないようです。
なぜ自治体は、事業用認可を取らないのかはよく分かりません。
事業用認可をとると、今度は無料にすることができなくなるとか、通常の警察活動でい
ちいち費用の精算をしなければならなくなるとか、消費税がかかるとか…。 私の勝手な
想像ですが．．．
日本のロボットが原発内調査に使えなかったワケ
それでまた思い出した話があります。１月３日(火)のＮＨＫ番組「大人ドリル」の中で、日本は原発調査をできる能力を持つ
ロボット技術を持っているのだが、実践訓練ができないために、なかなか実用的なロボッ
トに育て上げることができないというようなことを言っていました。
たとえば、ロボットに道路を歩かせようとすると、道路交通法がネックになってできな
いということもあるそうです。
それに比べてアメリカは、そうしたものを実践でどんどん実験することができるのだそ
うで、今回の爆発した後の原発の中を調べるのに、アメリカのロボットに頼らざるを得な
かったというのです。
私はあのとき、ＡＳＩＭＯは使えないのかと思ったものです。ＡＳＩＭＯでなくても、
日本にはなぜ、リモートコントロールでよいから、テレビカメラを搭載して瓦礫を乗り越
えていけるような機械はないのだろうかと、不思議に思っていました。小惑星探査機「は
やぶさ」だって作れたのに．．．
で、「大人ドリル」で聞いたことで、なるほどねえと思ったのです。
そうした法律の融通のなさもさることながら、日本は、戦場を連想してしまうような実
験はしにくいのだろうと思いました。
ＡＳＩＭＯを、２足歩行だけでなく四つん這いになって瓦礫を乗り越えていくようなも
のにしようとすると、きっと「何のためにそんな機能を持たせるのか」という疑惑の目で
見られるかも知れません。
高温・多湿、さらには放射線にも耐えて、四つん這いになって進むロボットなんてこと
になると、「ターミネーター」が連想されて、一企業としては躊躇するでしょう。
その点、アメリカ(に限らず他のほとんどの国)は、兵器に結びつく研究でも積極的にで
きる雰囲気があるのでしょう。
放射線があったり高温・多湿、場合によっては高圧、あるいは瓦礫の積み重なる環境と
いうと、これまでの日本は戦場か宇宙か深海か、あとはせいぜい地震等で倒壊した建物の
瓦礫の山ぐらいしかあり得ないと決め込んでいたかも知れません。
しかし、今はもう、高温・多湿・高放射線、光もなく床も瓦礫だらけという所になり得
るものが日本国内のあちこちにあることが分かったのですから、事故防止と合わせて、起
こってしまったとき、人間に代わって働いてくれるタフなロボット(機械)の開発にも、日
本の技術を注ぎ込んでほしいと思います。
誤解を恐れず敢えて言えば、兵器に転用されることの心配ばかりではダメです。そもそ
も、兵器に転用されては最も困る原子力を、日本は国策として利用を推進してきたのはありませんか。しかも、使用済み核燃料の処理もできないくせに。
勝手な時だけ "いい子" ぶってはいけません。 〟