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複眼
Ｎｏ.０１３ 2004年７月12日
暑い～！
《いや～、暑いなぁ～。》
『ほんまやなぁ～。』
《言葉の最後にいちいち "～" が付いてしまうほどや～。》
『なんやそれ。いったいどういう例えなのか、ようわからんな～。』
《ほら、付いたやんか～。》
『やめてんか、余計暑苦しいわ。今日はちょっとマシやけど、とにかく、熱中症には気ぃ
付けてんか～。先週、教室も34度やったし、数学の職員室も35ﾟ超えてんのや．』
《数学の先生、もう若うないんやから、気ぃ付けなあかんで～。》
『生徒諸君も、よう頑張っとるなあ。えらいなぁ～。ワタシの姪の行っとる私立高校では、
何人かの生徒は寒いゆうてジャージ着て授業受けとるそうや。』
《エアコン入れると、必ず寒いゆう人とまだ暑いゆう人が出まんな。それで喧嘩になった
りするんやけど、自然のまんまに暑けりゃ、みんなしゃあないと諦めがつくやろ。自然
が相手なら、人間どうしの仲間意識や思いやりの気持ちが高まるんとちゃうか。》
『オマエも偉いもんやなあ。諦めか悟りか、どっちやろ。』
Ｂ組２位 おめでとう ～水泳大会～
教室外では授業とは違った諸君の表情が見られるので、見ていて楽しいものです。
ところで、バタフライのできる女子が全クラスにいるということに驚きました。
今や、全ての学校にプールのある時代ですから当たり前のことなのかも知れませんが、
つい自分の時代と比べて驚いてしまうのです。
私が初めて泳げるようになったのは、小学校６年の夏休みです。
私は、銀行員である父の転勤に合せて３校の小学校に通いました。
１校目は横浜市。私が２年生になったときにプールができ、いよいよ学校で水泳ができ
る矢先に外耳炎を患い、ほとんどプールへは入れず、翌年５月には青森市の学校に転校す
ることになりました。もちろん、プールなどありません。短い夏には近くの海岸で水遊び
をする程度です。
その代わり、青森ではスキーを覚えました。校庭に雪が積もると、校庭の真ん中にブル
ドーザーで左右にスロープのある高さ５ｍ程の三角形の雪山を作り、体育の時間や休み時
間、放課後や冬休みにはそこでスキーで遊びました。
道路の雪がツルツルに凍ると、そこでスケートもしました。
５年生の秋、今度は世田谷区の学校に移りました。まだできて10年ほどの、１学年２ク
ラスの大変小さな学校でしたが、周囲を何本かの柱で支えられた２階の体育館の下がプー
ルになっており、雨の日でも泳ぐことができました。そのため、その学校は水泳指導に大
変力を入れていました。
６年生で泳げないのは私一人。夏休みには毎日水泳教室をやっており、このチャンスを
逃したら中学校で恥かしい思いをすることになりそうだという危機感もあって、毎日のよ
うにプールに通い、先生もホースを持って毎日指導してくださり、最後には１級（帽子に
４本の黒線）にチャレンジできるまでになりました。
《なんで先生はホース持っとんねん？》
『一番端のコースでクロールの練習をしているとき、先生はプールサイドを歩きなが
ら私の頭のてっぺんにホースで水をかけ続けて、息継ぎで前に顔を上げさせないよ
うにしてたんや。』
《えらい乱暴なやり方やなあ》
『今はどうか知らんけど、当時はこれくらい何ともないんや。』
１級は、クロールで100ｍ以上、平泳ぎ50ｍ以上、背泳25ｍ以上、潜水10ｍ以上だった
と思います。しかし、最後の潜水でお尻が浮いてしまい不合格になりました。その時は、
まだ平泳ぎの足が "あおり足" で、平泳ぎもやっとのことでした。それで、潜水では "バ
タ足" でやったのです。しかも、練習もせずに受けたのですから仕方ありません。
その後、平泳ぎの足を何度も練習し、平泳ぎと潜水の手足のタイミングの違いもマスター
して、中学では潜水25ｍまでできるようになりました。
バタフライは、男子でもできる者はほとんどいませんでした。
遭難の捜索費
話は変わって、前回の本紙で、山の遭難の捜索費は自己（遺族）負担と書きましたが、
７月３日の朝日新聞の夕刊に、田中長野県知事が、山岳遭難の救助で県のヘリコプター使
用の有料化を打出す、という記事があり、それによれば、現在は県警のヘリコプターは無
料（税金負担）だそうです。
そのせいか、昨年、北アルプスに単独登山の男性（29歳）は、「テントの中でお湯をこ
ぼして火傷した」「転んで手を切った」と、１ヶ月に２度、携帯電話で長野県警に救助を
要請、ヘリで急行すると男性は元気に手を振ってヘリを誘導したという例もあるそうです。
民間のヘリなら１時間で約50万円掛かるそうですが、自治体のヘリは、航空法の事業用
認可を取る例がなく、今のままで料金を取ることができないとのことです。ですから、前
回の私の発言は不正確であったことになります。お詫びいたします。
しかし、除雪車など、民間の機材を使用した場合は、それが無償のボランティアでない
限りは原則的には有料で、海難事故でも、海上保安庁などは無料でも、地元の漁船などが
出動した場合は、経費の請求はなくても、当事者は謝礼という形でもよいから、いくらか
でも支払うべきなのでしょう。
で、朝日新聞の記事は、「有料にするとお金がないことを理由に救助要請を諦めて犠牲
になった場合の責任は誰が取るのか」と、県警幹部は知事の提案に難色を示し、日本山岳
ガイド協会事務局長の磯野剛太さんが「大規模な山岳保険制度を作れば、ヘリも所有する
救助組織ができる」と訴えていることを報じています。
関連記事→１１５号（2012年１月６日）
外来語の言い換え
国立国語研究所は６月29日、33の外来語のわかりやすい言い換えについて中間案を発表
しました。同研究所は、2002年から外来語委員会を作って検討を始め、第１回で62語、第
２回で47語を提案し、今回が第３回目の提案になります。第４回でひと区切りにする予定
だそうです。
今回の提案について、ここではクイズ形式にしておきましょう（下）。左の外来語の
原語のスペルを（ ）内に書き、それに対応する日本語（同委員会が提示した言い換え）
を右の語群から選び、記号を［ ］に記入してください。
カタカナから英語のスペルを類推するのもおもしろいですよ。スペルがわかれば、正し
い発音やアクセント、もとの意味や関連語句を調べることができます。
言い換えの努力
江戸時代末期以降、日本は西洋の近代文明を大変な勢いで取入れてきました。そのおか
げで、東アジアの他の国々の人達は、西洋の知識を学ぶのにヨーロッパやアメリカまで行
かなくても済むようになり、日本に続々と留学しにきたのです。
他国から新しい知識や技術を学ぼうというときの当時の日本の特徴は、そうした知識を
日本語に言い換える努力をしたという点でしょう。日本では今も、大学院レベル以上の各
種の専門書までもが当たり前のように日本語で出版されてますが、英語圏以外で、そうし
た高度な専門書までも自国語で書かれているという国は珍しいのではないでしょうか。
しかし、それが原因で大学でも英語の必要性を感じずに済んでしまうため、高学歴なの
に英語の話せない人が非常に多いという、世界的にも珍しい国になってしまったとも言え
ると思います。それで、外来語の日本語への言い換えに反対する人もいます。
この辺の、日本人の日本語に対するこだわりとも言える点については、また機会を見て
お話ししたいと思います。
ともかく今や、日本は知識や技術を吸収する立場から世界に向けて発信していく側になっ
たこと、また、情報やビジネスなどの国際競争では翻訳や通訳に時間をかけるわけにはい
かない、あるいは翻訳や通訳による意味の微妙なズレで正確に意思が伝わないとこともあ
るということから、英語が必要という意識が強まってきたのだと思います。
国立国語研究所が提案した外来語の言い換え
外来語（スペル） 意味 委員会提案の意味の語群
アカウンタビリティ（ ）［ ］ ア．意見公募
イニシアチブ（ ） ［ ］ イ．移動性
カウンターパート（ ） ［ ］ ウ．会議
ガバナンス（ ） ［ ］ エ．技能
コンファレンス（ ） ［ ］ オ．供給側
コンプライアンス（ ） ［ ］ カ．緊急輸入制限
サプライサイド（ ） ［ ］ キ．原則
スキル（ ） ［ ］ ク．災害予測地図、防災地図
スタンス（ ） ［ ］ ケ．債務不履行、初期設定
ステレオタイプ（ ） ［ ］ コ．資産構成、作品集
セーフガード（ ） ［ ］ サ．支障
セットバック（ ） ［ ］ シ．使節団、使命
ソリューション（ ） ［ ］ ス．住民参画
ツール（ ） ［ ］ セ．主導、発議
デジタルデバイド（ ） ［ ］ ソ．情報格差
デフォルト（ ） ［ ］ タ．人的資源
ドクトリン（ ） ［ ］ チ．新分野
ﾄﾞﾒｽﾃｨｯｸﾊﾞｲｵﾚﾝｽ（ ） ［ ］ ツ．説明責任
ハザードマップ（ ） ［ ］ テ．存在感
ﾊﾟﾌﾞﾘｯｸｲﾝﾎﾞﾙﾌﾞﾒﾝﾄ（ ） ［ ］ ト．対応相手
パブリックコメント（ ）［ ］ ナ．立場
プライオリティ（ ） ［ ］ ニ．通行課金
ブレークスルー（ ） ［ ］ ヌ．道具
プレゼンス（ ） ［ ］ ネ．統治
フロンティア（ ） ［ ］ ノ．突破
ポートフォリオ（ ） ［ ］ ハ．配偶者間暴力
ボトルネック（ ） ［ ］ ヒ．万人向け設計
マンパワー（ ） ［ ］ フ．壁面後退
ミッション（ ） ［ ］ ヘ．法令遵守
モビリティ（ ） ［ ］ ホ．紋切り型
ﾕﾆﾊﾞｰｻﾙﾃﾞｻﾞｲﾝ（ ） ［ ］ マ．問題解決
リテラシー（ ） ［ ］ ミ．優先順位
ロードプライシング（ ）［ ］ ム．読み書き、活用能力
この他に、オンライン、データベース、フォーラム、メセナ（仏語mecenat＝芸術文化
支援）は言い換えを断念したとのことです。これらも辞書で引いてみてください。 〟
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