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複眼 　Ｎｏ.０１５　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2004年９月１日

夏よりも 熱い 小山台の９月

　暑かった夏休みも終わり、いよいよ小山台が最も熱くなる季節になりました。
　８月２５日、３年生の登校日に運動会の各団長団が結成され、各団のＯＢも来校して応
援の練習の指導を始めました。
　諸君の中には、中学生のときに小山台の運動会を見て感動した人も多いと思いますが、
あの感動の裏には、これから10日余りの間、先輩の指導のもとで行われるかなり真面目で
ハードな練習があることを、諸君はこれから身をもって知ることになるのです。
　今度は諸君が後輩たちに見てもらう立場です。これからの練習のできによって、諸君の
後輩や家族の方の感動が左右されます。
　また、同時に文化祭の準備も進んでいるようです。運動会はクラスが４団に別れ、文化
祭ではクラス一緒です。
　まだ残暑は厳しいですが、協力し合って頑張ってください。

フィリピン

　私はこの夏、フィリピンに行ってきました。猛暑の東京からすればちょっとした避暑に
なりました。
　フィリピンは、赤道と北回帰線の間にあるので、この時期は、日中の太陽はほぼ真上か
ら照りつけます。頭のてっぺんやサンダル履きの足の甲や指なども焼けるような感じがし
ますが、３時以降になれば陽も傾き、風は涼しく、大人も子供も家の前に椅子を出して座っ
たりして、夕刻の一時を過ごしています。昔の日本の下町の路地裏に似た感じです。
　真夏ではあっても、学校は休みではありません。こちらは、６月に始まって３月に終わ
ります。12月半ばからの約１ヶ月と４月・５月が休みになります。
　公立も私立も小学校からだいたい制服があり、上は白のワイシャツ・ブラウス、男子の
下は黒かグレーのズボン、女子は、緑か青のスカート。スカート丈は、当然、膝下です。
　街中でショッピングをする女性たちも、ほとんどジーンズなどのパンツルックで、スカー
トは稀、ミニなどは皆無です。
　フィリピン共和国は、大小合せて7109の島々からなる面積約30万km2、人口約7700万人
（日本は面積約37万km2、人口約１億２千万人）。約８割がカトリック。イスラム教徒も
５％ほどいます。
　首都は、北部の大きな島ルソン島にあるマニラ（人口約１千万人）。
　人口の約１割、800万人が外国へ出稼ぎに行っています。近隣の東南アジア諸国はもち
ろん、アラブ諸国へも多数、単純労働やメイド（家政婦）として働きに出ています。
　フィリピンは一時期、英語を公用語としていたため、どこへ行っても言葉で困ることは
ないということもあるのでしょうが、"世界のメイド" とも言われるくらい、フィリピン
人はメイドのような人の世話をする仕事を率先してするという国民性と言うか、職業観と
いうか、そういうものを持っているようにも思えます。
　出稼ぎではなく、看護師など、専門資格を持った人も、アメリカなどの病院で働いてい
ます。
　しかし日本は、メイドや介護師、看護師、医師、弁護士などは外国人は受入れていませ
ん。弁護士などはアメリカから文句言われたし、今後の日本の介護制度において、外国人
の介護師を受入れるよう、インドネシアやフィリピンなどの東南アジアの国々から要求さ
れています。日本は今のところ、言葉の壁を理由に、実質的に拒否しているようですが、
この点については、私もまだ勉強不足ですので、また後に話題にすることにします。
　さて、フィリピンの最近の話題といえば、イラクで働いていたフィリピン人運転手が武
装勢力の人質に取られ、その要求どおり、アロヨ大統領はフィリピン軍の撤退を７月19日
に実施し、人質は無事解放されたというできごとでしょう。
　イラクにおいて、武装勢力の要求を飲んだのはフィリピンが初めてで、アメリカや日本
は、「テロに屈した」として激しく非難しました。
　しかし、アメリカはともかく、日本はアメリカの尻馬に乗ってフィリピンを非難するべ
きではなかったと思います。
　フィリピン国内には、南部の大きな島ミンダナオ島を拠点とするモロ・イスラム解放戦
線（ＭＩＬＦ）という大きなイスラム武装勢力があり、政府軍は、イラク戦争や９・１１
以前から反政府武装勢力と交戦を繰り返してきました。マニラ周辺には、フィリピン共産
党とその新人民軍（ＮＰＡ）などの共産主義武装勢力もあって、テロを繰り返してきまし
た。日本とはまったく異なったテロとの関係を抜きにして、念仏のように「テロ反対」と
いっているだけではやっていけないのです。
　そのかわり、国内の警備状態は、日本とは比較になりません。
　デパートやショッピングモールの入口では、銃を持った警備員が一人一人の持ち物を検
査します。バッグの中を必ず覗かれます。ポケットなども外から触られます。
　かつては、テロ対策というよりは、万引き対策の持ち物検査が出口で行われてましたが、
今は、出口はほとんどノーチェックです。
　空港の入口では、迷彩色の軍服を着て大きな銃を持った兵士が検問をしています。空港
からの幹線道路の途中にもそうした検問があって、１台ずつ止めてチェックします。
　イラクの武装勢力の要求に応じたことで、少なくともフィリピン国内のイスラム武装勢
力がフィリピン政府を攻撃しづらくなっているのではないかと思われますし、イラクには、
米英軍基地で大工や清掃員などとして働くフィリピン人がいまだに約4000人いるのですが、
彼らを更に人質に取ることも難しいと考えられます。
　ともかく、フィリピンはひとつの独立国として、国内事情も合せて独自の判断をしたの
であって、アメリカはともかく、日本にそれを非難する資格はあるのかと思ってしまいま
す。この点においては、小泉首相よりも、あの小柄な女性、アロヨ大統領の方が頼もしく
感じます。実際、人質解放で国民の圧倒的支持を得ています。

天高く横たわるさそり 天高く横たわる大さそり

　私は、マニラから飛行機で約１時間半、ミ
ンダナオ島の最大都市ダバオ市とその近郊の
地域を訪ねました。
　ダバオから車（ジープ）で４時間ほどいっ
た町に滞在中のある日の夜、停電になりまし
た。この辺では停電は珍しいことではありま
せん。
　ちょうど月のない夜で外も真っ暗です。空
を見上げると、まさに満天の星。天の川もはっ
きり見えます。南の空を見上げると、あのＳ
の字にくねったさそり座の迫力にしばし、我
を忘れてしまいました。
　日本では、南の低いところにあるさそり座の全貌を見ることは難しいですが、そこでは、
およそ50ﾟほどの高さにありますので、全体像をしっかり見ることができます。しっぽの
部分が天の川に掛かっているのもわかります。
　電気が復旧したら、すぐにカラオケです。

オリンピック

　オリンピックの間フィリピンにいたので、帰国するまで、まったくようすがわかりませ
んでした。フィリピンではあまりオリンピックは関心がないようで、ケーブルテレビなど
ではやっていたのかも知れませんが、通常のテレビではニュースの中でちょこっと報道さ
れる程度です（私の滞在先にはケーブルテレビはなかった。）。
　さて、今回は日本選手は大変頑張ったようです。今の選手は、昔の選手のように日本を
背負(しょ)ってるというようなプレッシャーは少ないようで、まず自分が楽しむために、という
感じが強くなってきたように感じます。
　マスコミなどは、相変わらず「メダル、メダル」とうるさいですが、私はどうもあれが
好きではありません。「参加することに意義がある」というのと都合良く使い分けて、建
前と本音が露骨に感じられます。発展途上国のような「せめてここで国威を発揚しよう」
というような、そんな感じがして好きになれません。
　オリンピックは平和の祭典というけれど、これほど政治的なものもありません。そもそ
も、国どうしで競い合うという仕組がどうも気になります。
　実際、ヨーロッパをはじめ世界に強まる国際化の流れによって、多くの人々の心の中に
は国を応援する気持ちが薄くなってきたという指摘もあります（Ｎｅｗｓｗｅｅｋ ８月
４日号）。
　例えば、両親・家族、友人のほとんどがフランス人だが、アメリカに住んでアメリカの
プロ・バスケットボールで活躍している選手が、オリンピックになると国籍の関係でフラ
ンス代表として出ることになっても、生活の基盤はフランスにはないわけだから、この選
手はフランスのために戦う気になれないと言うわけです。この選手は、今年、フランス代
表を引退したそうです。
　また、野球にしても、国内のリーグ戦と重なれば最高の選手をオリンピックに出すわけ
にはいかないとか、オリンピックは所詮素人の競技、国籍に関係なく集まるプロのバスケッ
ト、サッカーなどの方が商業的にはうま味があるとかで、欧米ではオリンピックの視聴率
は下降気味だということです。選手にとっては最高のチームで最高のプレイをしたい、観
客も、最高のプレイを見たいというわけです。そこにはナショナリズムはありません。
　いまだにオリンピックを国威発揚、愛国心高揚に利用しようしている日本は、ひと時代
遅れているようにも感じます。
　中国の重慶でのサッカー・アジア杯の様子から、４年後の北京オリンピックがどうなる
のか、各方面から心配の声が出ています。中国政府自らが反日教育を推進する一方で、対
外的には国民に自制を求めなければならないという、非常に難しいコントロールをしなけ
ればならないわけです。
　うっかりすると、国民の不満の矛先が政府に向いてしまったら、中国共産党政権も崩壊
しかねません。

　ともかく、２学期も元気に行きましょう！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〟
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