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複眼 　Ｎｏ.０１６　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2004年９月13日

いよいよ運動会

　競技、応援、係分担に、この２週間の練習の成果を出し切ってください。
　当日は、朝８時丁度のファンファーレで始まり、分刻みでプログラムを進行させていか
なければなりません。進行の時間の正確さも小山台の運動会のウリです。これは、全員の
テキパキした行動によって実現できるものです。団長団、召集係、審判などの指示には敏
速に応え、用具係も各自の役割をしっかりこなしてください。進行を滞らせないことも、
運動会を盛り上げる大切な要素です。
　明朝は早いです。今夜は早めに休みましょう。

プロ野球の行方は日本全体の行方

　プロ野球が大騒ぎになっています。普通紙の１面トップになるくらいだから、日本は本
当に平和なんだなぁ、と思います。
　ともかく、この土日のストは回避されましたが、問題を先送りにしただけです。
　この球団の合併問題は、今は経営問題として短期的な話になっていますが、日本はこれ
から確実に人口が減っていくのですから、そう遅くない頃に、２リーグの維持は不可能に
なると私は考えます。サッカーのＪリーグのチーム数も減らさざるを得ないでしょう。オ
リンピックでのメダル獲得数も、次の北京あたりがピークで、後は減少の一途を辿るので
はないかと私は思います。
　ですから、今のプロ野球の問題は、中期的に見れば日本全体の縮小につながる問題と捉
えておかなければならないと思うのです。

日本の人口の推計

　2000年のデータをもとにした国立社会保障・人口問題研究所の平均的な数値による人口
推計は次のようになっています。（(　)内は2000年を100とした割合） 
     +-----+-----------------+-------------+-------------+------------+

     |　年 |　　総人口       |　0～14歳    | 15～64歳    | 65歳以上   |

     +-----+-----------------+-------------+-------------+------------+

     |2000 |１億2693万(100)  |1851万(100)  |8638万(100)  |2204万(100) |

     +-----+-----------------+-------------+-------------+------------+

     |2025 |１億2114万(95.4) |1409万(76.1) |7233万(83.7) |3473万(158) |

     +-----+-----------------+-------------+-------------+------------+

     |2050 |１億  59万(79.2) |1084万(58.6) |5389万(62.4) |3586万(163) |

     +-----+-----------------+-------------+-------------+------------+
　なぜこのような年齢に分けるかというと、15～64歳は「生産年齢」と呼んで、経済活動
に大きな影響を与える年齢として捉え、人口の変化から経済の変化も予測できるようにす
るためです。
人口ピラミッド 　このような人口の年齢構成は、よく「人
口ピラミッド」というグラフで表されます。
　「ピラミッド」といわれるように、本来
は下（若い人）の方が広い釣鐘型になるべ
きなのですが、日本は、それとはまったく
反対の逆三角形になっています。
　右のグラフの中の横線は、諸君の年齢で
す。
　少子化による人口減少が、日本の将来に
どういうことをもたらすのか、想像してみ
てください。
　今年、国会でも議論された年金は、この
人口推計から単純に計算すれば、50年後に
は年金受給者は1.6倍に、労働人口は0.6倍
になるのですから、労働者一人当りの負担
額は、
　　　1.6÷0.6＝2.67 倍
になります。
　私は今、共済年金を毎月３万５千円あま
り払っていますが、50年後の50歳近い人は
毎月９万３千円ほどにしなければならない
という計算です。もちろん、実際は積み立
て分を支給するので、同時代の若者の数が
そのまま反映されるわけではありません。
　また、今 0～14歳の人達は、2025年にはちょうど野球やサッカーのバリバリ現役の年齢
になるのですが、それが今の４分の３に減るのですから、単純にいえば、12球団は９球団
に、サッカーＪ１の16チームは12チームに減らさざるを得ないということになりますし、
技術レベルを維持しようとするなら、もっと絞らなければならないでしょう。
　この「技術レベルを維持する」という点は、産業・経済・教育全体にも当てはまるわけ
で、人口の減少を上回るスピードで技術力・経済活力は低下していくことが考えられるの
です。
　これを少しでも食い止めるには、定年という一律の年齢で高齢者を社会から締め出すの
ではなく、能力・活力のある高齢者は年齢に関係なく現役として働いてもらったり、優秀
な人材が海外に流出するのを防ぐような環境を早急に整え、また、外国人労働者を受け入
れることも不可欠です。
　さらに、日本をリードしていく本当の意味でのエリートを養成する教育も絶対に必要で
す。
　そして、何といっても安心して子供を産んで育てられる社会の構築です。
　こうした問題は、諸君に直接降りかかってくる問題です。大人たちが用意してくれた社
会に乗っかっていけば良いという時代は終わりました。

ＮＥＥＴ ５２万人

　Ｎot in Ｅmployment,Ｅducation,Ｔraining の略です。意味は分かりますね。分か
らなければ辞書を引きなさい。
　ＮＥＥＴ（ニート）は、職を探すこともしないので「失業者」としてカウントされず、
これまで統計に現れなかった人達なのです。
　前ページの日本の厳しい将来の話を書いているときに、「平成15年に働かない若者が52
万人」という、厚生労働省の「平成16年版労働経済の分析」（いわゆる労働経済白書）が
10日に発表されました。
　それによれば、フリーターも前年から８万人増えて217万人となって「憂慮すべき問題」
としています。
　「憂慮すべき」とは、前述した「人口の減少を上回るスピードで経済の縮小が進む」大
きな原因になるということです。
　仕事もせず教育や訓練を受けているわけでもなく、職を探すこともしない人でも、餓死
したという話は聞いたことがありませんから、日本は本当に平和で豊かな国なんだなあと
思うと同時に、それもあとわずかしか続かないだろうし、国民の２極分化はどんどん加速
されて、下の階層が増えて確実に治安も悪くなるだろうななどと、少子高齢化・人口減少
の将来に更なる不安感を覚えずにはいられません。

学校占拠事件 ～北オセチア共和国～

　正しい情報がなかなか伝わってこないので、事件の真相や背景などが良くわかりません
が、イスラム原理主義の過激派の支援を得たチェチェン共和国の独立派武装グループとみ
られる28名ほどが、９月１日、新年度の始業式の始まった北オセチア共和国のベスラン
（４頁地図中の上側の「・」）の学校で、生徒やその家族たち1200人ほどを人質に立てこ
もり、何発かの爆弾を破裂させ、50数時間たって最後には治安部隊と銃撃戦になり、銃撃
や爆破などで500人以上が死亡あるいは行方不明になったというのがこれまでにわかって
いることです。助かった人も、大怪我をしたり脱水症状などで病院で手当を受けています。
　1000人余りの人質をバスケットボールのコート内に押込め、周りを武装した犯人が取り
囲み、壁や天井に爆弾を仕掛け、何人かの子供の体にも爆弾を巻きつけ、水を飲みたくて
外へ出ようとした子供の背中から銃弾を浴びせる．．．
　ハッサン・ルバエフという13歳の少年が「あなたがたの要求には誰も応じない。我々を
殺しても何の役にも立たない。」と叫んだとき、犯人は「お前はそう信じるか」と問い返
し、彼が「はい」と答えると、次の瞬間、犯人は彼を撃ち殺したということです。
　その体育館には、すでに100人ほどの遺体もあったということです。
　占拠当初は、チェチェン内のロシア軍撤退や、ロシアに拘束されている仲間の釈放を要
求したようですが、最後には自爆するつもりだったという見方もあります。
　先月24日の２機のロシア航空機同時爆破、31日のモスクワ地下鉄の駅入口での自爆テロ
はいずれもチェチェンの女性によるものです。そして、この学校占拠事件の犯行グループ
にも女性が含まれています。
　その点について、かつてロシア軍に殺されたチェチェンの男性の妻や子供の母親が、ロ
シアへの復讐心から自爆テロに走っているという話もあります。

カフカス地方 ウラジ・スモウ

　ことの本質はロシアとチェ
チェンとの間の長年にわたる
紛争にあるわけです。
　200年前に帝政ロシアがこ
こに侵攻して以来、ロシアか
ら独立したいという思いから
紛争が繰り返され、そのたび
にロシア軍によって抑えられ
てきたのです。その間に何万
というチェチェン人がロシア
軍によって殺されたわけで、
それで今回、ロシア連邦に属
する北オセチアで事件を起こ
したということなのです。
　なぜ、ロシアがこんな小さな国を手放そうとしないのかというと、第一には、カスピ海
には豊富な油田があって、その石油や天然ガスをロシアに供給するパイプラインがチェチェ
ンを通っているからなのです。ここが反ロシアの国として独立したら、ロシアは大変困る
わけです。
　黒海とカスピ海の間の地域をカフカスといいます。北オセチアの首都（上の地図の北オ
セチア内の２つの「・」のうち南の方）はウラジカフカスといいます。これは「カフカス
を征服せよ」という意味だそうです。日本海に面したウラジオストクは「東方を征服せよ」
という意味で、「ウラジ」が「領有する」とか「征服する」という意味なのだそうです。
　日本では、日露戦争の２年前、1902（明治35）年に中島佐一氏が「忠勇征露丸」の製造
販売を開始しました。もちろん「ロシアをやっつけろ」という気持ちが込められた名前で
す。1946（昭和21）年、大幸薬品株式会社が設立されて「忠勇征露丸」の製造販売権を継
承すると「中島正露丸」に名称を変更しました。戦後、平和を目指す日本として気を使っ
たのでしょう。
　12日初日の大相撲秋場所には、新入幕の露鵬と新十両の白露山という外国人初の兄弟力
士がいます。北オセチアのウラジカフカスの出身だそうです。
　「ウラジ・スモウ」の気持ちで頑張ってほしいと思います。　　　　　　　　　　　〟
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