２学期中間考査終了
いかがでしたか。
８科目しかなく、しかも間に土日も入ったので、よく勉強できたのではないですか...?
新潟地震
東京では、大きな横揺れが長く続き、まるで巨大なプリンの上にいるかのような感じが
しました。被災者の皆さんには心よりお見舞い申し上げます。
上越新幹線が脱線しました。線路のほぼ真下が震源だったため、自動制御のブレーキが
間に合わなかったとのことです。新幹線40年の歴史で脱線は初めてです。ちょうど40年前
に東海道新幹線が開業しましたが、その４ヶ月前、1964年６月にも新潟地震が起き、26名
の方が亡くなったそうです。
台風に地震に、まさに天変地異を思わせる自然の猛威に対して、我々はいかに無力かを
思い知らされます。しかし、いくら無力とはいえ、なすべきことをしないで被害を拡大し
てしまう、いわゆる人災は、最小限に抑える努力をすべきです。特に、個人の力ではでき
ないことは行政がいち早く対応する態勢を確立してほしいものです。こういうときにこそ、
首相を始めとする責任者のリーダーシップが問われ、行動が、分刻みで検証されます。
今回、東京国際映画祭のセレモニーに出席していた首相は、地震の第一報を聞いてから
も、ここで退席しては映画祭に失礼だろうということで約１時間会場に
相の肉声が届いたのが地震発生後19時間もたってから、というような点が批判されていま
す。このようなことが、国民が自国の政府を頼りなく思う気持ちを増長させるのです。
国を誇りに思う心というものは、国民が国家（これ自体抽象的な概念ですが）から大切
にされていると実感することで醸成されてくるものだと私は思っています。
文化の日 ～１１月３日～
1946（昭和21）年のこの日に、現行の日本国憲法が公布されました。この日は、もとも
とは明治天皇の誕生日で、当然、それを意識してこの日に公布したのです。
その半年後の1947年５月３日に施行されました。こちらは憲法記念日です。
祝日法によれば（本紙００４号参照）、文化の日は「自由と平和を愛し、文化を進める」
となっていますが、分かったような分からないような、何とも不思議な定めです。「自由」
と「平和」は、多分、日本国憲法を意識した
あまり馴染みのない言い方です。
文化の日には、各地で憲法に関する催しがあると思います。
日本国憲法誕生物語
憲法については、本紙００４号でも少し触れましたが、この機会に、もう少し詳しく調
べてみましょう。日本史の最重要部分のひとつです。入試なんぞではなく、私たちの現在
の生活・価値観の根拠に直結するという意味で、重要なのです。
1945（昭和20）年８月15日に、ポツダム宣言（降伏の条件）を受諾する、つまり、この
戦争を終わりにすることを天皇が
閣は総辞職（総理大臣を始めすべての大臣が大臣をやめること）、
で、９月２日に東京湾に浮かぶ米国戦艦ミズーリ号の艦上で
総長が降伏文書に署名し、第２次世界大戦は終結しました。（０１４号参照）
なお、この時の米大統領はトルーマン（Harry S.Truman，1884～1972，在職期間1945.4
～1953）です。広島、長崎の原爆投下を決断し、戦後の日本のあり方に直接関わった大統
領です。
その後日本は、1952（昭和27）年４月28日のサンフランシスコ講和条約発効までの６年
半余りの間、連合国、といっても実質的には米軍単独の占領下に置かれることとなります。
これは、日本の長い歴史の中で国の主権を失った唯一の経験です。（００４号参照）
ところで、イギリス、ソ連を始めとする他の連合国は、米軍単独占領に対して不満はな
かったのでしょうか。実は、日本の降伏が連合軍の予想よりかなり早かったため、戦後の
対日政策がまだはっきり決まっていなかったのです。それで、暫定的ながらも占領構想を
検討していた米国の方針に委ねられることになったのです。
しかし、米国もその辺は気にしており、連合国各国による日本占領政策の最高意思決定
機関として「極東委員会（ＦＥＣ）」の設置を提案したのです。
さて、
を脅かすことのない国にすることです。
具体的には、日本の軍隊をなくし（武装解除・非武装化）、主権を天皇から国民に移し
て、国民の意思と関係なく特定の政党や人間が強大な権力を握るということのないような
民主主義国家にするということです。
この「米国の安全のため」という思想は、現在のイラクに対してもまったく同じです。
1945年10月11日、ＧＨＱ（占領軍の総指令部）の実質的責任者で連合国最高指令官 ダ
グラス・マッカーサー（Douglas MacArthur，1880～1964）は、当時の
～1951）内閣に対して、「五大改革」の指令とともに、「憲法の自由主義化」を示唆しま
した。
「五大改革」とは、参考書風にまとめると、
・完全な男女同権と婦人の解放 → 婦人の参政権など
・労働者の団結と組織の助長 → 労働組合法、労働基準法制定など
・教育の民主化 → ３教科（修身・国史・地理）の授業停止、教育勅語の失効、男
女共学、教育基本法・学校教育法制定など
・圧政諸制度の撤廃 → 特別高等警察・治安維持法廃止、政治犯の釈放など
・経済の民主化 → 市場を独占していた財閥（三井、三菱、住友、安田など15財閥）
の解体、大企業の分割、独占禁止法制定など
という内容のものです。これは、米本国の指令に基づくものです。
「憲法の自由主義化」とは、この「五大改革」を踏まえ、特に天皇主権を撤廃して国民
主権とすることを指します。ただ、この時点では天皇の処遇（身分や地位などをどうする
かということ）についての米本国における意見調整がまだついていません。
東久邇首相やその次の幣原首相は、帝国憲法の修正・改正の必要性をあまり感じていな
かったようです。むしろ、天皇を頂点とする国の形（国体）を護持することが当然であり、
国民もそう思っていると考えていたくらいです。
そういう日本の姿勢が分かっていたマッカーサーは、
正を促したのです。憲法改正については、この時点では米本国の指令ではなく、マッカー
サー個人の判断だといわれています。
10月25日、松本
た。しかし、松本会長自身、天皇君主制を撤廃する気はまったくなく、調査会の活動も大
変消極的なものでした。会の名前に「改正」とか「修正」という言葉を入れていないのも、
その姿勢の現れです。
調査会が２ヶ月近くのらりくらりとやってきた12月15日、ＧＨＱは「国家
政府の保証・支援・保全・監督および
を出し、翌1946年元日に、天皇の「人間宣言」（天皇は現人神でないことなどの宣言）が
発表されました。それでも調査会は、帝国憲法第三条の「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」
を「天皇ハ
＝最も尊いこと）
そのほか、議会の権限を広げたり（結果的に天皇の
義務を明確にするなどの修正をして「松本案」ができたのですが、００４号ですでに述べ
たように、２月１日の毎日新聞のすっぱ抜きによって帝国議会より先にマッカーサーが案
の全容を知るところとなったのです。ＧＨＱは直接調査会に内容を確認し、"自由主義化"
が不十分ということで、マッカーサーは３日、日本政府には極秘にＧＨＱの民政局に２月
12日（リンカーンの誕生日）までに日本の憲法草案を作成するよう命じたのでした。
そんなこととは
をＧＨＱに提出しています。
10日にＧＨＱ案はでき、12日にマッカーサーは承認、13日にやっと松本案の拒否を正式
に伝えると同時にＧＨＱ案を吉田茂外相と松本会長に手渡し、「２月20日までに受け入れ
を決定しなければＧＨＱが直接国民に発表する」という強い態度で迫りました。
それでも日本政府は、18日に松本案の「説明補充」を渡そうとしましたが、ＧＨＱは受
け取りを拒否。日本政府は期限を22日に延期してもらい、21日に幣原首相とマッカーサー
との会談が実現しましたが、マッカーサーは、象徴天皇制（国民主権）と戦争放棄はＧＨ
Ｑ案の
始まってしまうとＧＨＱ案では済まなくなり、「天皇の安泰を保障することが困難になる」
という内容の殺し文句を切り出したのでした。米国が期日を急ぐ理由はそこ（極東委員会、
特にソ連による共産主義的憲法が作られることへの警戒）にあったのです。
日本政府は22日の閣議（大臣たちの会議）でＧＨＱ案の受け入れを決定しました。とい
うより、受け入れざるを得ないということです。
これで、極東委員会の最初の会議前に、日本政府が
したという形が整い、英ソ中は、憲法については口出しできないことになったのです。
Ｍａｄｅ ｉｎ Ｏｃｃｕｐｉｅｄ Ｊａｐａｎ
受け入れを決定した後、
院に憲法改正案が提出されました。
２ヶ月後の８月24日に衆議院で修正を加えて可決。
10月６日に貴族院でも修正を加えて可決し、衆議院へ再び回され、翌日に可決。
10月11日に議会閉会。
そして、11月３日に日本国憲法が公布されたのです。
枢密院、衆議院、貴族院での修正が、ＧＨＱへの精一杯の抵抗でした。
占領軍が直接法律を作ったりするのではなく、このように、あくまでも当該国の政府や
議会を動かすことで統治することを「間接統治」といいます。
このような経過から、日本国憲法は、大日本帝国憲法（1889（明治22）年２月11日発布）
を修正したのではなく、新たに "制定した" という言い方をします。
よく「現憲法は米国製だ（から自主憲法制定を）」と言う人がいますが、一応は４ヶ月
近くの間、大日本帝国憲法の下で審議・可決したのですから、原料はともかくも、製品と
しては Made in Occupied Japan（占領下日本製）と表現するのが最も適当だと思います。
おもちゃなどでは、ただの Made in Japan より Made in Occupied Japan の方が価値
が上がるようなこともあるようです。
《おもちゃと一緒はひどいな。それにしても、今回はえらいこまかい話やったなぁ。》
『けど、下手な小説よりも緊張感あるやろ。戦争に負けたとはいえ、国の体を維持しておっ
たおかげで、ドイツのように連合軍にしたい放題されるようなことは避けることがでけ
たんや。それに、ナチスのユダヤ人
本の場合はなかったしな。』
《今回は日本国憲法の「誕生物語」やったけど、こうなると、今度はＧＨＱ案のどういう
ところを日本は修正したのか、内容をもっと知りとうなったがな。》
『そやろ。まったく知らんままやと問題の存在すらも気付かれへんから知りたいとも思わ
んけど、ちょっと知り出したら次から次へと疑問が湧いたりしてもっと知りとうなるの
が、健全な知性とか知識欲っちゅうもんや。』《ほなら、その話、今度聞かせてもらえるんか？》
『そやな。アタシも頑張って勉強せなあかんな。』 〟