進級おめでとう
いよいよ、２年生のスタートです。
諸君はいちおう、"２年生の授業を受けても大丈夫だろう" と判定されたので進級でき
たのです。そこが、義務教育である小中学校の "進級" と違うところです。
日本の義務教育では、次の学年の授業についていけそうかどうかということは考えない
ようですが、聞くところによると、たしかフランスだったと思いますが、小学校でも落第
があるそうです。その学年の授業がわからないまま無理やり進級させることは、授業を受
ける権利を奪うのと同じと考えるのだそうです。日本とは大違い！
日本は、授業がわかろうとわかるまいと、進級させた方が人権に配慮したというような
感覚ですが、フランスでは、授業がわからないまま進級させてしまうことが人権侵害にな
るという感じなのでしょう。"人権" といっても世界共通ではないのですね。
新Ｇ組スタート
そして、新しいＧ組のスタートです。
Ｇ組は、男子20名、女子19名の39名です。１学年の各クラスから３～８人と、ちょっと
バラツキがありますが、芸術科目や数学の展開授業の選択を加味してクラス替えをしまし
た。数学の①の希望者が20名います。
仲の良い友達と別れてしまったり、相性の良くない人と一緒になったりということもあ
るでしょう。しかし、人との出会いというのは、普通はそういうものです。いつも仲良し
だけと一緒にいられるなどということをいつまでも望んでいてはいけません。私は「仲よ
くなれ」とは言いません。適当な距離を保つというのも大事なことです。これが下手な人
が増えているような気がします。
最初の大きな行事は合唱コンクールです。１学年の７クラスのメンバーが混ざって、さ
て、誰がどうまとめていくか。期待しています。
土曜授業
小山台の生活で今年から大きく変わるのは、土曜授業が始まるということです。
勉強に適した季節の土曜日20回、午前中50分の４時間授業を行います。終わりは12時15
分です。そして、土曜授業のある週の月火木金は50分の６時間授業になります。終わりは
２時50分です。班活の時間が多くなります。補習や講習もできます。
土曜授業のない週は、これまでと同じ、45分の７時間授業になります。ヤヤコシイ！
水曜日は常に45分の７時間です。
なぜこうしたかというと、授業時間を少しでも多くしたいからです。しかし、生徒には、
土曜の分の振替え休業日を与えなければならないという教育委員会の指導により、各学期
の期末考査後に２日ほど、授業のない休業日があります。また、期末後は、これまで午後
まで授業をやっていましたが、土曜授業を行う学校は、期末後は１日３時間で良いことに
もなりました。これは、採点時間を確保することによって採点ミスを減らし、また、問題
のレベル維持というねらいもあります。
《なんや、それじゃぁ、結局は授業時間は増えへんのとちゃうか。》
『そうやな、授業の回数はほとんどかわらへん。そやけど、半分ほどの授業は５分伸びて
50分授業に戻る。その５分が大きいんや。それに、期末考査後の一斉授業が減るさかい、
講習などの時間も取りやすうなる。』
《そういえば、数年前までは、都立高校は期末試験後は、いわゆる "試験休み" ゆうて、
授業はあらへんかったなぁ。》
『そうや。期末後の時間の使い方は学校に任されとったんや。で、本校は、普段にはな
かなかでけへん補習や講習、水泳大会やら歌舞伎教室、文化教室やら、幅の広い教養を
豊かにするようなことを盛んにやっとったんや。』
《ほなら、なんで一斉授業するようになったん？》
『さっき
校へ来ん教員もおったり、12月には無断でスキーに行っちゃうのもおって、それで、勤
務時間は学校へ出勤せぇということで、通常通りの授業をやれってことになったんや。』
《補習や講習じゃあかんの？》
『自由参加の補習じゃ、ほんの一部の教員だけで済んじゃったりする。それをいちいち都
がチェックするのは大変やさかい、ほとんどの教員が出勤せなあかんように、全生徒を
一斉に授業せなあかんことになったんや。』
《ふ～ん。教員がよっぽど信用でけへんのやなぁ。それに、こんな画一的じゃ、学校ごと
に特色出せぇ、という政策と矛盾するんとちゃうの？》
『ウチの期末の特色は、確かになくなった。』
《そういえば、夏休み中も必ず学校へ出勤せぇということになったな。》
『そうや。たとえ、補習や班活指導がなくても、教員は少なくとも４時間は学校で過ごせ
ということや。図書館も博物館も半日だけしか認めへん。大学の講義とか都の認める研
究会以外は、１日中行きたければ休暇を出さなあかんようになった。』
《親が子供に勉強せぇゆうて、子供が机に向かってりゃ安心するのとおんなじやな。》
『教員っちゅうのは大学・大学院卒の、しかも専門のライセンスを持った、世間から見れ
ば大変な集団なんや。それを、ただ机に向かわせとくだけで、もったいない話や。』
《往復の通勤時間はまったくの無駄やしな。》
『一部の不届きモンを出さんために全体を縛り過ぎると、"
とになって、全体の元気がなくなる。この辺の兼ね合いが難しいとこや。企業にしても、
従業員がいかに愛社精神を持って生き生きと仕事してくれるか、経営者は考えにゃあか
ん。公務員かて同じ人間や。』
《けど、管理を厳しくしている割りには、不祥事が減ってるようには見えんけどな。》
『政策を実施したら、きちんとその効果の検証が必要やと思うんやけど、それはされてい
ないように思う。というか、効果がないのは政策が悪いんやのうて、教員が言うこと聞
かんからやと思うとるんかも知れへんな。』
《今は、何でも報道されるせいもあるんやろうけど、不祥事の内容が陰気になっている感
じがする。特に児童生徒に対する性的な事例が多なったようやけど、気のせいやろか。》
『教員は、その職業柄、自分より年下ばかりを相手にするさかい、大人どおしでは通用せ
んことも子供相手にやってしまうというのがあるのかも知れへんな。こうゆうことにつ
いては表立って言う人はあまりおらんようやけど、アタシは大事なことやと思うとるん
や。不祥事を起こしたら処罰して、見せしめのように発表する。これで不祥事が減るん
やったら、とうの昔に世の中きれいになっとるがな。』
《もっと、不祥事の原因、そういう行動に至る人の心の動きっちゅうもんをしっかり研究
せなあかんし、それを人事管理に活かす方策を真面目に考えなアカンちゅうことやな。》
『その通り！ たまにはエエこと言うなあ。厳罰化すればするほど、管理される側は弱い
ものへとはけ口が向かう。これを言い訳やゆうて切り捨てるんやのうて、人間の心理の
当然の動きとして、是非、専門家に研究してほしいと思う。製造業でも販売業でもない、
教員が生き生きと働ける環境というものを、心理学的な側面から見なあかんと思う。』
《まぁ、そんな熱くならんと。なんか、ちょっとグチっぽくなってきとるでぇ。》
『ハハハ．．． ま、新年度も始まった。アタシらも、また頑張ろか。』
《そうやな。》
『これからも、気イ向いたら出てくるさかい、みんな、よろしゅうな。』
《誰の気が向いたらなんやろ？ アテらに出る出ないの選択の自由はあるんかなぁ．．．》
今年は日本の正念場
さて、今年2005年は、日本の大きな節目の年です。太平洋戦争終戦60周年です。還暦で
す。といって、定年退職＝国際社会から引退というわけにはいきません。
日本人はこのことをあまり話題にしようとしませんが、お隣の韓国、中国は大騒ぎです。
韓国は、日本から解放された「
韓国内でお祝いするだけなら結構ですが、日本にとっては、決して大げさではなく、特に
夏をピークに大きな正念場になる年だと、私は思っています。
韓国が何をしようとしているのか、諸君は、ご存知ですか？
一言でいえば、歴史問題です。韓国は、日本に韓国の歴史観を受け入れさせようと、国
際的な活動を活発にしています。韓国の歴史観とは、日本は、かつては朝鮮からさまざま
な先進技術や文化を教えてもらいながら、豊臣秀吉の朝鮮出兵（文録の
長の役1597～98年）や西郷隆盛の征韓論（1873（明治６）年）、そして、日韓併合（1910
（明治43）年）と、日本は恩を仇で返したということをベースにしたものです。
具体的には、日本の一部の歴史教科書は、朝鮮侵略の歴史を反省していないとか、従軍
慰安婦は日本軍が組織的に仕組んだ強制的性奴隷だとか、島根県の竹島は韓国の領土だと
か、「日本海」という名前はいかん、「東海」という韓国での呼び名にすべきだとか、一
部には、ＫｏｒｅａはもともとはＣｏｒｅａなのに、アルファベット順でＪａｐａｎより
後になるようにＫに変えたんだとかいうものまであって、こんな日本が国連の安全保障理
事会の常任理事国になるなど言語道断、というわけで、韓国は近く、「東北アジア平和の
ための正しい歴史定位企画団」という、
日本もきちんと論理武装しておかないと、国際社会で日本の言い分は通らなくなるかも
知れません。外交では、反論しなければ相手の言い分を認めたことになってしまいます。
中国もまた、歴史認識を問題にして、日本の常任理事国入りに反対しています。４月２
日、四川省
店が襲われ、ガラスを割られるなどしました。インターネットでは、日本製品不買を呼び
かける書込みがされており、日本企業への攻撃が益々激化する様相です。また、尖閣諸島
の領有権で日本と争っており、沖の鳥島を「島」とは認めず、従ってその周りの海は日本
の領海ではないとして海底資源の調査をしたり、東シナ海の日中境界線ぎりぎりのところ
では、既に天然ガスの採掘を開始しようとしています。地下から日本のＥＥＺ（排他的経
済水域）内にまで続いているかも知れない地下資源を吸い取ろうと言う訳です。
通常は、こういう場所での資源採掘の際には、調査データを相手国に提出したりと、両
国の同意のもとで行われるのが国際的な慣習ですが、中国は日本のそうした要請を拒否し
続けています。日本は、1970年代に石油開発などの複数の企業が採掘権を申請したのです
が、中国を刺激してはいけないという外務省の方針により認められず、今回、中国の一方
的な開発となった訳です。日本も、昨年ようやく調査をし、天然ガスが日本側まで続いて
いる可能性があるということで中国に開発中止を要請しましたが、中国は無視。日本も、
このままならこっちも採掘するぞ、と先日通告し、中国は反発を強めています。
領土問題といえば北方領土もあります。1855年に日露通好条約（下田条約）で歯舞（群
島）、色丹、国後、択捉の４島を日本領、その先の千島列島をロシア領とすることを画定
してからちょうど150年、日露戦争終結からちょうど100年、日ソ中立条約を無視してソ連
が北方４島を占領してから60年です。日露戦争のときの捕虜の扱いなどの実態をきちんと
見直そうということが、日露両国で行われています。こうした機会も活用して、何とか北
方４島が返還されるように日本は粘らなければなりません。
このように、未来に向かうには歴史を知ることが不可欠なのです。漠然としたイメージ
だけで、とにかく謝っておけばよい、波風立てるな、というこれまでの外交は、むしろ、
相手を子供扱いしているようにも見えて大変失礼な態度だと認識すべきです。また、取れ
るものは永遠に取り続けようとする相手に対しては、全く効果はないばかりか、日本はそ
うした国の属国と化してしまう危険もあります。実際、それを望むかのように中国を崇拝
して止まない官僚や日本企業のトップもいるようです。
私は、日本が中国や韓国より上だとか偉いとか言っているのではありません。独立した
大人として、対等に付き合うべきだと言ってるだけです。日本と対等は許さんと言ってい
るのは、中国と韓国です。
「まぁまぁ、とにかく仲よくしよう」はもうやめよう。経済活動さえさせてもらえるな
ら、あとは何でも言うことを聞きます、と受け取られるようなこともやめよう。何が事実
かを常に探求し、事の正否をしっかり見極められる目を養おう。
国際的視野は、外国へ行かなくても広げることはできます。外国へ行ったら、自分の意
見を堂々と言えるように、今からしっかり準備しておこう。これは、本紙の大きなテーマのひとつです。
ともかく、これから１年、よろしく。 〟