第６０回学校祭
『暑い、熱い運動会からはや10日あまり、もう、文化祭も終わってしもうた。』
《黄団、優勝おめでとさん！ それに、用具やら審判やら召集やら、いろいろ各係もご苦
労さん。特に白団は、あのすごい土ぼこり、大変やったな。あれがなけりゃ、勝てたか
も知れへんなぁ。》
『まあ、団席の場所は運やし、風向きもしゃあない。そやさかいっちゅうわけやないやろ
うけど、閉会式では、団を超えて横に手を繋いで校歌歌ったんは、良かったなぁ。
さあ！ 来年はみんなが３年生になって、１・２年生を指導するんや。頑張ってや！』
《今年の文化祭は、運動会の後の準備日数がいつもより少のうて、２Ｇの "本気劇場"、
２本立てのうち、１日目は２本目のビデオが間に合わんかって残念やった。》
『ほんまや。ビデオ編集は、パソコンの機能をきちんと確認せんと、編集はできてもＤＶ
Ｄ書込みがでけんと、外へ持ち出せへんとか大変なことになる。』
《まあ、２日目には２本揃って、視聴覚室がほぼ満員やったから、よかった。》
『アタシらの時代は８ミリフィルムやったもんなぁ。本当にフィルムを切って糊で繋げる
んや。』
《それに音が入らんさかい、テープレコーダーでアフレコをやるんやな。》
『そうや。けど、上映のとき、絵と声が少しずつずれてくるんや。で、一瞬テープを止め
たり、早送りしたりして調整するんや。』
《絵と音がぴったり合うと、オ～、なんて声があがったりしてな。》
『あれから30年以上．．．』
《そういえば、今年は映画や劇が多かったな。それに、内容もレベル高かったと思う。》
『ビデオが手軽になり始めた頃の文化祭のビデオ映画っちゅうたら、仲間内だけで受ける
ようなギャグなんかが多かった。上映していても、自分たちだけで大笑いしてるんや。』
《賞は、長時間練習した班活にクラスがかなうはずないんやから、クラス部門の賞を設け
てほしいな。》
『来年は有志で参加しよう、なんて声がもう出とるで。』
《映画を今から始めれば、紅葉や雪景色、満開の桜やなんか、四季を通した映像を入れる
ことができて、文化祭としては珍しい作品もできるでぇ。》
『お前、なに煽っとんねん？』
《ええやんか。もうひとつアイデア持っとるんやけど。》
『なんやの。この際やから、ゆうてみい。』
《運動会のメイキングビデオを作るんや。５月の第１回実行委員会からの。絶対にお客さ
ん、見にくるでえ。それに、脚本もキャストもいらへん。カメラと編集だけや。ひとり
でもできそうや。》
『なるほど。けど、あんまり舞台裏は見せん方がエエんとちゃうか。』
《そうかなぁ。ま、なんちゅうても、これからは勉強や。がんばってんか。》
単独多数
先の総選挙では、自民党296議席、単独で絶対安定多数（※）、公明党の31議席を合せ
ると衆議院の３分の２（320議席）を超える勢力となりました。有権者の判断は、郵政民
営化はサッサと決着させて、次々山積している大事な案件に取り掛かれということだと思
いますが、選挙後のあるテレビ局の調査では、自民党に多く取らせ過ぎたと思う人が３分
の２くらいいるということです。しかし、しばらくはこの勢力で行くしかありません。
（※）常任委員長を独占し、全ての常任委員会で委員数の過半数を確保できる議席数で、衆議院は269
以上。
この勢力では、与党の出すすべての議案について、参議院で否決されても最後にはすべ
て衆議院で可決することができます。極端なことをいえば、いつでも討論打ち切りの動議
を出して裁決することも可能で、国会は、内閣の政策を追認するだけの機関となってしま
い、議案についての詳しい説明が国民に届かなくなることが懸念されます。
もっとも、そうした強引な手段を連発すると、また造反者が出てきたり、次の選挙で
"揺れ戻し" がくるかも知れません。
反対派も小泉支持
21日から始まった特別国会（※）の初日、衆議院で首相指名選挙が行なわれ、小泉首相
が指名されました。首相は即日、すべての閣僚を再任し、第３次小泉内閣が発足しました。
（※）特別国会 衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に召集される国会（憲法第54条）。会期
は衆参両院一致の議決によって決定する。（国会法第11条） 今回の会期は11月１日まで。
首相指名選挙では、郵政民営化に反対して無所属で当選した議員のほとんどが小泉首相
に投票しました。選挙で無所属といっても自民党員なのだそうで、「自分の党の党首に投
票することは何にも矛盾はない」などと言っています。選挙で、反小泉のつもりでそれら
の候補者に投票した人は、結局小泉支持に投票したのと同じ結果になったわけです。
ともかく、民営化反対派は総崩れで、郵政法案可決がほぼ確実になりました。そこで、
その後についていろいろ言われています。
小泉首相の自民党総裁任期は来年９月までで、小泉首相は延長する考えはないと言って
おり、ポスト小泉は誰かという話が出ています。郵政問題だからポストというわけではあ
りません。（ｐｏｓｔ～＝～の後、～以降 ←→ ｐｒｅ～）
この特別国会のあと、11月２日にも内閣改造（大臣など閣僚を新たに任命し直すこと）
が行なわれるのは確実で、ポスト小泉の候補者を重要なポスト（この「ポスト」は「地位」
とか「職」「部署」という意味）に就けて競わせるということをやるようです。
12月中に召集されるはずの通常国会（※）は、年金や医療の社会保障制度、公務員制度
改革、国と地方の税制や財政の改革、テロなどに対する安全保障、拉致などの北朝鮮問題、
対中・対韓国・対ロシア問題、在日米軍再編、憲法改正等々、課題は山積しています。
（※）通常国会 国会法第２条で、12月中に召集し会期は150日間と規定されている。
政界再編
特別国会での "ポスト・ポスト"（郵政後）の喫緊の課題は、12月14日に期限切れとな
る自衛隊のイラク滞在を延長するかどうかということです。もともと自衛隊派遣に反対だっ
た与党・公明党は、郵政と同じように自民党と足並を揃えることができるのでしょうか。
また、憲法改正手続きのための国民投票法案が、自民・公明・民主の議員立法で提出さ
れ、その法案を審議するための憲法調査特別委員会の設置が決まりました。実は、選挙直
後に、自民党は常任委員会を作って審議しようと決定したのですが、公明党は「寝耳に水
だ」と猛烈に反対したのです。憲法の内容そのものではなく国民投票法だけを審議するな
ら国会法の改正がいらない特別委員会でよいという理由です。それで自民は、郵政関連法
案を可決する予定の特別国会の前に公明党と争うのは得策でないとして、既定路線を変更
して特別委員会とすることにしたのです。すると今度は、自民や民主などの一部から不満
の声が上がりました。憲法調査会が４月に最終報告を行ったあと調査会を国会の常任委員
会に格上げする、というのは既定路線だったのに何を今さら、というわけです。
憲法改正や外交では、自民党は、公明党より前原誠司新代表の民主党と近いと考えてお
り、特に憲法９条改正では、自公連立は維持できないのではないかと私は思っています。
自民と民主が接近すると、公明党は与党からはずされ、民主党は左派が反発して分裂？
民主党左派は古巣の社民党に戻る？ それとも公明党が取りこむ？
憲法や国の安全保障といった国の根幹に関わる政策を、政党同士の取引の結果で決めて
いくというのでは、国際社会において "名誉ある地位" など占められるはずがありません。
もっとも、"名誉ある地位" などいらん、というのであれば、そのように憲法の前文を改
正すればよろしいのです。
素人が勝手にいろいろ想像しちゃってますが、こうしたいわゆる政界再編もさることな
がら、前回も述べたように、次の首相をどのような基準で決めるかが私の最も気にすると
ころであります。特に、対北朝鮮・韓国・中・ロシア・米の日本の姿勢は重要です。
諸君が選挙権を得る頃には大きく政治が変わっているかも知れません。
誰が働く？
今年１月～６月の半年間に、日本の人口が約３万1000人減ったことが８月下旬にわかり
ました。３月にインフルエンザの流行で死亡者数が多かったことや、例年、７月以降の出
生数の方が多いことから、年間の増減はまだわかりませんが、もし年間で人口減少という
ことになれば、予測より２年早いそうです。
日本は、国民の５人に１人が65歳以上という、世界一の高齢化社会です。私が65歳以上
になるときには、４人に１人以上になるそうです。諸君が65歳以上になるときには、３人
に１人ということのようですよ。そこまで行けば、むしろ、高齢者にもしっかり働いても
らおうという意味でのリストラを行なっているかも知れません。
「リストラ（restructure）」の本来の意味は、解雇とは直接は関係ありません。組織
などを再編成する、構造改革する、という意味ですから、高齢者の持つ技術や人脈などを
積極的に活用できる組織に作り変えるのも、リストラといって構わないわけです。
リストラの一環として、年功序列は良くないと言って、いわゆる "実力主義"、"成果主
義" が導入されてきたのですが、定年だけは昔のまま、実力や成果に関係なく年齢で一律
というのは筋が通っていないと私は思います。
さて、少子高齢化で私が心配するのは、65歳未満の働きが今までよりは低くなるのでは
ないかという点です。そうすると、人数として「４人に１人」でも経済的には「３人に１
人」くらいの負担になるかも知れません。
増え続けるＮＥＥＴ（※）と呼ばれる人達を税金を掛けて支援する．．． 65歳以上の
人ばかりでなく、相当数の若者をも面倒見なくてはならないことになるのではないでしょ
うか。実際すでに、各自治体に最低１ヶ所はＮＥＥＴを支援する施設を置いてスタッフを
配置するよう、国は各自治体に要請しています。
（※）ＮＥＥＴ Ｎot in Ｅmployment，Ｅducation or Ｔraining の略。仕事にもつかず教育も訓練
も受けていない人。それでも日本は餓死することなく生活できる。
勤労は権利だが、義務でもある。憲法第２７条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」
また、少子高齢化で避けて通れないのが、外国人労働者の問題です。日本の今の国力を
どうやって維持していくのか。人口が減れば生産量、消費量とも減り、経済は衰退してい
くのが道理です。当然、社会保障制度も破綻します。そうした中で、高齢者の比率が増え
ていくわけですから、日本人だけでは支えていけないことは明らかです。
日本の外国人政策は、外国人は日本に長居すべきでないということを基本にしているよ
うに思えます。そのため、期限のない就労は不可能で、特に、何の資格も訓練もいらない
単純労働は禁止。規制を厳しくすると不正も増えるのが世の常です。
私は、働くなら日本に定住するくらいの気持ちで来てくれという方針に変え、１年に何
人以内というように計画的に受け入れていくべきだと思います。日本でしっかり働き、税
金や年金、医療保険も長期にわたって払ってもらう。本国へ送金してしまうのではなく、
日本国内で消費活動をしてもらう。そうした安定した労働力かつ消費者という意味では、
家族も一緒に日本に住まわせるとよいと思います。たとえ単純労働でも、雇用者がはっき
りしていて仕事も継続的に与えることができ、家族と一緒の人は積極的に受け入れるので
す。若者が単身で来日すると、地道に働かず、一攫千金的な "仕事" で地下に潜ってしまっ
たりする割合が多くなると思います。
不法滞在や不法就労という罪は、泥棒や殺人という罪と違って、役人が許可するかしな
いかで合法だったり違法だったりする、完全に人為的に作られる罪です。外国人受入れ反
対の理由でよく言われる、外国人が日本人の職を奪う、というのは根拠はありません。も
ちろん、偽造パスポートや密航といった不法入国はダメです。これは、役人のさじ加減で
合法化するということはできません。
ただ、外国人を積極的に受け入れるには、タイミングの悪い時期ではあります。つまり、
テロリストが紛れて入ってくるということが心配されます。
しかし、そうであればなおのこと、単身者より家族ごと来てもらった方が安全ではない
でしょうか。本当に困ってから、突然、外国人に来てくださいといっても、誰も日本を信
用してくれません。２年生のこのあとの大きな行事は修学旅行です。楽しみですね。 〟