訂正とついでの補足
（１）前号のp.1、図表の下の第６段落、「1946年」は｢1945年」の誤りでしたので、謝り
ます。訂正をお願いします。（教員へ配布した後に気付き、生徒諸君の分は手書きで直
しておきました。）（ＷＥＢ版も正しく1945年になっています）
1945（昭和20）年４月１日午前８時30分、米軍は沖縄中部の西海岸（現在の
北端に諸君が２・３泊目に泊まるホテルがある、
る、
満 中将 ・沖縄守備軍指令官は「生存中の上級者は各部隊を指揮し、最後まで戦え」と
言い残して
後も戦闘は続き、米軍が沖縄作戦の終了を宣言したのは７月２日、更に日本軍が公式に
降伏文書に調印したのは、日本政府の調印９月２日より後の、９月７日でした。それ以
降、米軍は沖縄を占領し、終戦後も、日米安全保障条約で沖縄に米軍基地を置くことに
なり、今日に至ってます。
６月23日を慰霊の日と定めたことで、あたかもこの日で沖縄戦が終了したかのごとく
に伝えられ、その後の重要なできごとが丸ごと消されてしまう恐れがあると、太田昌秀
前沖縄県知事をはじめ、ほとんどの研究者は６月23日終戦説に異議を唱えています。
"その後の重要なできごと" とは、たとえば、本島北部の熱帯性の森林に逃げていっ
た島民たちは、指令官を失った敗残兵たちに食料を奪われたり、軍の指示に従わないと
虐殺されたり、そして、食料が尽き餓死したというようなことなどです。米軍は敗残兵
を追って山の中に入ってきます。敗残兵と間違われて撃たれる住民も多数いました。
諸君が泊まるホテルのある読谷村の住民は、米軍上陸間もなく、70km離れた本島北部
の
なければならないという、実に悲惨な逃避行です。戦争が終わったことも知らずに、食
料を求めながら歩き回りました。犠牲者の３分の１は栄養失調、いわゆる餓死です。最
後に米軍に保護されたのは９月の半ばです。
（２）前号のp.2、「沖縄研究レポート」の第４段落、「以外と～」は「意外と～」の誤
りでしたので、謝ります。（ＷＥＢ版では正しく「意外と」になっています）
こうした誤記は、手書きではあり得ない、ワープロならではのものでしょう。いや、
諸君の手書きの作文の中で見たような気がするなぁ．．．
ワープロの誤変換の面白さを競うコンテストもありました。日本
会が昨年夏から毎月募集して、今年９月に年間の優秀作品を決めました。
年間ベスト作品は「今年から貝が胃に棲み始めました」だそうです。今どきこんな変
換をする変換ソフトはあるのかと思うくらい "できすぎ" ですが、「住む」と「棲む」
をきちんと使い分けているところなどは、この変換ソフトは優秀なのか何なのかよくわ
かりません。
その他の作品として面白いと思ったのは、
「500円で親使わないと」（おやつ買わないと）
「うちの子は時価千円でした」（耳下腺炎＝おたふくかぜ）
「『同棲しよう．．．』でも、家なかった」（言えなかった）
でしょうか。
同音異義で「お食事券」と「汚職事件」、「パン作った」と「パンツ食った」、「こ
ぶとりじいさん」と「小太りじいさん」などはワープロの前からありますが、この手の
ハシリと言ってよいのでしょうか、30年ほど前、つボイノリオの「金太の大冒険」とい
う歌がありました。しかし、残念ながらこの歌詞は本紙にはちょっと載せにくいので、
想像にお任せしておしまいにしておきましょう。インターネットで簡単に見つかると思
います。
沖縄は中国に狙われている
さて、あと７週間で沖縄修学旅行です。私も少し沖縄について調べてみました。
まず、改めて沖縄の位置を確認してみました。
すると、台湾に非常に近
いことに、いまさらなが
ら驚きました。
那覇の西約600kmに台
北があります。鹿児島ま
でとほぼ同じ距離です。
台北より手前、沖縄本
島から450kmほどのとこ
ろに尖閣諸島があります。
現在は、無人島ですが、
諸島の西端に位置する最
も大きな魚釣島には、カ
ツオブシの工場跡と日本
の政治団体が作った灯台
があります。日本の第11
管区海上保安本部が海上
を警備し、土地登記上も
沖縄県石垣市で、日本が
実効支配しています。
中国と台湾はともに、
尖閣諸島は自分のものだ
と主張しています。中国
は、尖閣諸島は台湾に付随する島であるという考えです。
沖縄の北西350kmほどのところでは、中国が海底ガス田の開発を進め、８月に生産を開
始しました。中国はそこを
もつながっていますから、日本も遅ればせながら日本名「白樺」を命名し、「日中中間線」
の日本側でガス田試掘を始めることを決めました。
前ページの地図で、東シナ海に南北に引いてある実線が「日中中間線」で、日本の主張
する日中の境界線です。これは、沿岸から200海里（１海里≒1852ｍ）までを沿岸国の排
他的経済水域（ＥＥＺ）（※１）であるということを定めた「領海および接続水域に関す
る法律」という国際法に基づくものです。互いの200海里領域が重なるときは当事国間で
取り決めるとなっているので、日本は中間が良いと言っているわけです。
しかし中国は、大陸棚（※２）までがＥＥＺであるという考えに従い、尖閣諸島は中国
領で、図の点線（沖縄トラフ（※３））を境界線というつもりでいますから、今開発中の
ガス田は日本には関係ないというわけです。
※１ 排他的経済水域(ＥＥＺ)：その国が、他国に邪魔されることなく漁業や海底資源、島などの開
発・利用ができる海域のこと。1994年に発効（日本は1996年に批准）された国連海洋法条約によって、
日本も沿岸から200海里までをＥＥＺと宣言した。ただし、200海里が他国の200海里領域と重なると
きは、当事国どうしの話し合いで決めるとしている。それで日本は、「日中中間線」を境界とすべき
であると言っているのである。他国のＥＥＺ内は、単に通行することはできる。潜水艦は浮上して国
旗を掲げて航行することになっている。中国は、潜航したまま日本のＥＥＺ内を何度も侵犯している。
※２ 大陸棚：沿岸から深さ200ｍまでのところを大陸棚という。大陸棚は、大陸から流れ出た土砂の碓
積によってできたのだから大陸がその利用権利を有するという「大陸棚自然延長説」に基づき、中国
は、点線までをＥＥＺであると主張しているのである。この大陸棚までをＥＥＺとすることは、1958
年の「海洋法条約」で規定されている。しかし、そうすると日本列島全体が、中国大陸から水深200ｍ
以内の海底でつながっているし、地質学的にも日本は大陸と同じ地殻に乗っていることが杏林大学の
平松茂雄教授らの調査でわかり、従って、日本全体が中国のＥＥＺに入ってしまうことになる。さす
がの中国もそこまでは言えないので、沖縄トラフまでが大陸棚であると言い張って、図の点線を境界
としている。
※３ トラフ：海底の地殻（プレート）はゆっくり移動して、大陸の地殻にぶつかってその下に潜り込
んでいく。その潜り込むところの海底は、通常6000ｍ～１万ｍ以上の深い溝になっていて海溝と呼ば
れる。トラフは水深5000ｍ未満の海溝のこと。確かに、中国沿岸から尖閣諸島までは水深200ｍ以内だ
が、諸島の南、南東側から急に落ち込んで、八重山列島（石垣、西表、与那国各島の列）と尖閣諸島
のちょうど中間あたりで水深2000ｍ近くに達している（沖縄トラフ）。南西諸島（種子島～与那国島）
の南側は6000ｍ程の海溝になっているので、南西諸島はちょうど山脈の尾根のようなところだと言え
る。それで、中国は尖閣諸島と八重山・沖縄列島の中間を大陸棚の切れ目としているわけである。諸
君には、地図帳を開いてこれから自分たちが行こうとしている沖縄の周りの海底の地形を是非確認し
てもらいたい。
こうした境界近くの資源開発では、両国の同意のもと、調査データなどを互いに提供し
合うというのが通常のやり方なのですが、中国はそうした日本の要求には一切応じないば
かりか、中国側のガス田は中国だけで開発し、日本側の領域では共同開発しようという、
実に図々しい提案をしています。これくらいの神経の図太さは、日本は少し学んだ方が良
いかも知れません。
それでも中国が現在手掛けているガス田が「日中中間線」ギリギリのところということ
からすると、中国も、国際的にはまだ中国の主張は受け入れられないという認識はあるの
かも知れません。日本はそこをしっかり押さえて、大陸棚を根拠にすると矛盾が起こるこ
とを粘り強く説明し続けなければなりません。
中国が沖縄トラフを境界線とするその先には、沖縄も中国のものであるという話を腹に
持っています。ですから、こうした面倒なことを早く片付けたいなどといって日本がヘン
な妥協をすると、ドンドン付け込まれることになります。
沖縄を中国領だと言うのは、地形的なことではなく、歴史的な関係を根拠にしています。
沖縄の歴史は、諸君のうちの何人かが夏休みに調べています。明治になるまで、沖縄は
琉球王国として清国（当時の中国の国名（朝廷名））を宗主国とする
の関係にあり、同時に薩摩藩、のちに鹿児島県にも属するという２重の立場にあったわけ
です。
※冊封：力を持つ国（ここでは中国）が宗主国として、その周辺の中小の国々の首長や王にその国を
統治することを承認することで、それぞれの国は宗主国の権威を借りて政権を安定させるという仕
組み。冊封を受けた国は宗主国に従属することになるが、宗主国との文化や経済交流が保障される。
※朝貢：冊封された国の王や代表が、定期的に宗主国を訪れ貢ぎものをし、宗主国への服従の意を表
すこと。
それで中国は、琉球諸島は中国のものという潜在意識を持っているのです。実際、1943
（昭和18）年に米英中が行なったカイロ会談（日本の戦後処理を話し合った会談）では、
蒋介石は、琉球は中国の領土だと主張しています。
また、台湾の前政権の国民党（終戦後、中国共産党との内戦に敗れた蒋介石が率いる党）
は、琉球は
から1879（明治12）年（日本による琉球処分）まで507年間にわたって、宗主国の地位で
いたということを主張していました。
今でも台湾政府は、沖縄との交流は、日本との窓口である「台北駐日経済文化代表処」
とは別組織の「中琉文化経済協会」が管轄しています。
しかしそうすると、冊封・朝貢関係にあった朝鮮半島も中国のものと思っているのでしょ
うか？ あり得るかも知れません。
ともかく、波風を立てたくないとか、穏便に解決したいという気持ちが日本にあれば、
すかさずそこを突いてくるのが外交ですから、絶対に気を抜いてはいけません。
修学旅行の２・３泊目には、読谷村の
ナ海に面しており、夕日がきれいなところです。その夕日の方、450kmほどの海上に尖閣
諸島があるということを、夕日を見たときに思い出してみて下さい。
進路懇談会
先週土曜日の進路懇談会は、多くの人が大変ためになったと感想を書いているようです。高校生活の後半、進路を真剣に考え、学習にも力が入ってきてい
る人が大勢見られます。金曜日からの中間テスト、頑張ってね。 〟