想定外
《みんな、中間テストに模擬試験どないやった？》
『なんて言ってる間に、あと４週間で期末や。』
《ほんまや。忙しいなぁ。けど、修学旅行は楽しみやな。》
『その前に、来年の選択科目を決めとかなアカンのや。』
《いや～、いよいよやなぁ。そやけど、まだ、方向も全然決まっとらんゆうて悩んどるひ
とも、結構おるようやで。》
『文化祭の映画の翔太状態やな。』
《アテらのときよりもずっと、世の中も入試も複雑やさかい気の毒や。》
『そうやな。アタシらのときには、選択科目かてこんなにあらへんかった。大雑把に文系
か理系かという程度や。選択科目で悩んだなんて記憶、あらへん。』
《大学の入試科目やらの載った雑誌が教室にもあるけど、アタシらの目にはやさしくない
なぁ。》
『あんな細かい表作ってからに、アテらのような老眼は想定外っちゅう感じやな。』
《はっは～、そうきたか。これで見出しにつながったわけやな。》
『春頃は "想定の範囲内" っちゅうことばがよく聞かれたんやけど．．．』
《ああ、ホリエモンが連発しとったな。》
『そうそう。ところが、夏から秋にかけては "想定外" がよう聞かれへんかったか。』
《台風とか地震のときやろ。想定外の雨量とか想定外の揺れとか。》
『そうや。アタシはな、予想外とか予測できんかったと言わんと、想定外ってゆうことに
何か意図を感じるんやけどな。』
《そうやなあ。予想外というと、本当に誰しもが予想できなかったようなことならエエけ
ど、１時間に100ミリを超える雨とか、震度５強とか６といった揺れなんかのように、
実際にあったっておかしくないことを予想外だったなんて言うと、何をネボケたことゆ
うとるんやって感じになる。それに比べて、想定外って言えば、起こり得ることとは認
識してはいたけど、堤防や建物の設計上、やむを得ない事情でそれを想定した設計はで
きない、という、なんちゅうか、高度な専門的な判断がそこのはあるんやっちゅう、そ
んなニュアンスが伝わってくるな。》
『やむを得ない事情ってゆうのは、たいていは経済的な問題やないかな。予想は、できる
かできないかと言うこと、想定は、するかしないかということやな。諸君の進路は、い
ろいろなことを想定して幅広い選択肢を持つようにせんとな。』
《想定するためにはそれ以上のことを予想できなあかん。予想外のことを想定することは
不可能やさかいな。》
『オマエにしてはなかなかうまくまとめたな。』
アイウエオ→アイウイウ／アエオエオ
諸君の沖縄レポートの中には、沖縄の方言について書いたものが数通あります。
沖縄の言葉は、我々の使っている言葉とかなり違うので、ガイドブックなどにも書いて
あったりします。その代表的なものとして
メンソーレ … いらっしゃいませ
ウチナー … 沖縄
をみると、「メンソーレ」は「いらっしゃいませ」の発音が変化したものとは思えません
が、「ウチナー」は「おきなわ」が変化したものであることが分かります。
「アイウエオ」が「アイウイウ」と発音され、「キ」は「チ」になるという規則性に当
てはまります。と、このようなことが、諸君のレポートに書かれてます。
ここからは私の独断です。
沖縄語とはだいぶ違いますが、この発音に似ているのが、志村けんの言葉です。あれは
どこの言葉か知りませんが、たとえば「オリのゆうごどツィけよ～」という感じです。
この「ツィ」の発音は難しい。文字では伝え切れません。最初に「キ」の「ｋ」の発音
をしてそのまま「スィ」といいます。「ｋｓｉ」と書けばよいでしょうか。できましたか。
この子音を強めると「ｔｓ」に近い音になります。それで、沖縄の「キ」が「チ」にな
ります。それも、chi ではなく tsi に近いと思います。
さて、「アエオエオ」というのは、最近の若い人の発音です。私の耳で聞く限りでは、
一部の若い人達の発音がこのように変化してきているように聞こえるのです。これは特に、
「シ」の音においてよく現れるようです。
紙上でうまく伝わるかどうかわかりませんが、敢えて試してみましょう。
たとえば、「ワタシ」が「ワタスェ」と言った感じです。「スェ」の子音は「ｓｈ」で
はなく「ｓ」に近い音です。she と see の違いです。また、「ェ」は本当の「エ」ほど
には口を横に広げないで、むしろ自然に開いた状態で、舌も自然のまんまで気持ちだけで
「イ」と発音します。
英語でも、si は、ときとして「セ」に非常に近い発音になります。six が、時々「セ
クス」に聞こえて、ハッとしたりします。
英語の話は別として、日本人の若い人の発音がどうしてこうなってきたかを推測するに、
口の動きが小さくなってきたからではないかと私は思っています。
それでは、なぜ、口の動きが小さくなってきたかと言うと、これは良く言われているこ
とですが、軟らかいものしか食べないから顎の発達が不十分なためだと、私も思います。
唇や舌をあまり動かさないと「イ」と「エ」、「ウ」と「オ」の音が近付きます。
発声練習では「アイウエオ」ではなく「アエイオウ」といいますが、これは、大きく開
いた「ア」から口が最も細くなる「ウ」までの間を徐々に口を変化させて出てくる音の順
です。こうすると、「イ」と「エ」、「ウ」と「オ」は口の形が似ていることがわかりま
す。ですから、口の形をいいかげんにすると、この２つの音は似てくるのです。
また、いいかげんではなく、逆にあまりに極端に口を動かすと、微妙な口の形の違いが
区別できなくなり、これら隣どうしの音は、口の形がよりはっきりしてる方に吸収されて
しまうということも推測できます。つまり、「エ」は、よりもっと口を平たくした「イ」
に、「オ」は口をより細く突き出した「ウ」になってしまいます。
合唱コンのときの発音の話も思い出してください。
などど、私の勝手な解釈、推測を書いてしまいました。専門家が研究すると、どのよう
な話になるのでしょうか。ともかく、日本語の発音は時代とともに変わっているはずです。
平安時代には母はパパだったという話を聞いたことがあります。
集団自決の命令はなかった？
沖縄戦の話の中でよく語られることに、沖縄の民間人は日本軍に集団自決を強要された
というのがあります。米英は
ところが今年の７月、戦争当時に
梅沢裕・元少佐本人と、
自分たちはそのような命令はしていないとして、両隊長が集団自決を命令したように「沖
縄ノート」（岩波書店）に書いた大江健三郎氏と、他にそのような記述のある出版物を出
している岩波書店を名誉毀損で裁判に訴えました。
集団自決の命令があったということに疑問を持った作家の曽野綾子氏が島を取材した結
果、生存者の女性が「軍命令による自決なら遺族が遺族年金を受け取れると村の長老に説
得され、偽証した」と話していたということを、その妹が明らかにしたということです。
ですから、諸君が沖縄戦についていろいろ調べると必ず出てくる "日本軍の命令による
集団自決" については、少なくともこの２つの島については、戦後60年にして初めてその
真偽が裁判で検証されることになったということは記憶に留めておき、この裁判の行方に
注意を払っていきましょう。
また、戦争というのは、当事者の遺族・子孫にも、大きな傷を残すのですね。
あの、東京裁判で戦犯とされた人達にも子や孫がいて、戦犯の子、孫として大変屈辱的
な差別やいやがらせを受けながら戦後を過ごしてきたといいます。
東京裁判については、靖国神社とも絡んで、国会でも今まさに議論の的になっています。
本紙でもまた話題にすることになるでしょう。
なお、「集団自決」について、沖縄では、強要されたものは自決ではない、軍人のそれ
とは異なるということで、民間人の場合は「集団死」というようにしているということも
知っておきましょう。
また、今回の裁判は、２名の元隊長に限った個人の名誉毀損に関する訴訟であり、沖縄
全体で集団死の命令があったとかなかったとかという話ではないことも、念のため言い添
えておきます。ですから、この文の見出しの末尾の「？」は消すわけにはいきません。
特定の人の命令ではなく、戦中の教育によって擦り込まれているということも考えられ
ますが、日本軍のいなかった島では集団死は起こっていないというデータもあるようです。
第３次小泉内閣
予想より２日早く内閣改造が行なわれました。
やはり、ポスト小泉と目される人を重要ポストにつけ、というより、重要ポストに起用
された人がポスト小泉なのでしょう。
垣偵一財務大臣だといわれています。
ここで、中国・韓国（・北朝鮮）に対する外交に関して、朝日新聞と産経新聞の社説や
解説を比較しておきます。
朝日は、11月１日の社説で「アジア外交が心配だ」と言っているのに対して、産経では
「財政再建の形示せ」という文章の中に、小見出しとして「友好だけでは無意味」という
一節を載せています。
朝日は、「首相の靖国神社参拝で中国や韓国との関係はこじれ、アジア外交は浮遊し続
けている」として麻生外務大臣を「近隣国とのとげとげしい関係を修復する役回りにふさ
わしい人選とはいえない」と否定的な見解を述べています。
また、安倍官房長官が靖国参拝をこれからも続ける可能性を示したことに触れて「小泉
政権でも、外交的な配慮から歴代の外相と官房長官は参拝を控えてきた。新内閣では３人
がそろって参拝するということなのだろうか」と懸念を表し、「アジア外交の停滞には目
をつぶり続ける。この小泉路線があと１年続く。この痛手の深さが心配である」と結んで
います。
一方産経は、「小泉首相の靖国参拝のため、首脳の相互訪問が実現しないことなどを
（対中国・韓国外交の行き詰りの）理由としている。だが、相互訪問の実現によって懸案
が片付くわけではない」と言っています。
また、「「反日」運動を展開し」「常任理事国入りなどをめぐって、（中国は）日本と
利害が対立した。こうした利害を調整し、国益に資する外交が必要だ」「（北朝鮮との国
交正常化も）拉致問題などの解決が前提であるという原則を崩してはならない」と、以前
からの産経の見解を繰り返し述べています。
朝日の方は更に、韓国や中国のメディアが安倍氏と麻生氏の起用に対して強い関心を示
し、特に韓国が「異例とも思えるほどの批判を浴びせた」とし、「強硬派で『
家』として知られる麻生氏と『超強硬派』の安倍氏の要職起用は、韓日関係の改善を難し
くするだろう」という韓国の
このように、まったく見解の違う新聞が日本には存在します。ですから、日本ではいろ
いろなものの考え方を知ることができます。日本には言論の自由があるのです。他国を利
するようなことを言っても、盲言などといって言論を封じ込めるようなことはしません。
しかし韓国や中国は、日本の味方をするようなことを書くと身の危険すらも感じるような
バッシングを受けます。日本は幸せです。
▼ ▼ ▼きょう、選択科目の１次調査提出です。どうしても決まらない人も、理想的
と思えるものを書いて、その旨をメモしておいてください。 〟