沖縄修学旅行
西風の強い寒い沖縄でしたが、いかがでしたか？ 沖縄に来る観光客の６割はリピーター
だと、タクシーの運転手さんから聞きました。いずれ諸君も、その仲間入りをするのでしょ
うね。とくに次回は、暖かい沖縄に行ってみたいですよね。
リピーターの観光客が多くなると、ガイド役でもあるタクシー運転手も、もっと沖縄の
ことを勉強しなければならないと年配の運転手さんは言っていました。偉いもんだなぁ、
と感心して聞きながら、私たち教員も、そういう気持ちで常に勉強しなければならないと、
改めて思いました。
ところで、行きの飛行機で、離陸のための加速を始めたときの諸君の歓声は、修学旅行
ならではのものでしょう。着陸で拍手が起こったのも同様です。
飛行機が加速し、離陸して上昇して行くとき、Ｙ先生の物理の授業、期末試験を思い
出した人はいるでしょうか。
それにしても、あんなデカイ物をよくも飛ばすことができるものだという驚きは、いつ
までも消えません。ライト兄弟が1903年に12馬力のエンジンで12秒間 "空を" 飛んでから
100年あまり、その間、航空技術は大変な進歩を遂げました。単に空へのあこがれだけで
は、これほど速くは進歩しなかったでしょう。戦争という、採算を度返しした必要性が、
飛行機に限らず、科学技術の進歩に大きく "貢献" したことは確かです。戦争がなければ
科学技術はもっと遅れていただろうというひともいます。
日本が初めて国産機を飛ばしたのは、ライト兄弟の初飛行のなんとわずか８年後、1911
（明治44）年です。明治時代の日本の近代技術の吸収力には驚かされます。
その後、日本の航空技術は世界のトップクラスになり、太平洋戦争時の戦闘機ゼロ戦
（
空中戦において無敵を誇り、米軍は、撃墜したゼロ戦を持ち帰って研究したと言われてい
ます。（旧日本軍には空軍はなかった）
それゆえに、戦後ＧＨＱは、日本を "無害な" 国にするために航空機の研究・製造はお
ろか、模型飛行機すら作ることを禁止したのでした。
６年たって、日本が各国と講和条約を結んで羽田空港がＧＨＱから返還され、日本の航
空会社の旅客機が羽田から世界に向けて飛び立つようになりました。しかしその機体はす
べて外国製です。
その当時の日本の航空機産業は防衛庁向けだけでした。しかもそれは、日米安保条約の
ために、米国の規格のライセンス生産だけでした。ですから、日本の技術が向上するとい
うことはありません。このままでは、戦前の日本独自の優秀な航空機技術が消えてしまう
という危機感から、当時の通産省の航空機武器課長・赤沢璋一氏が、日米安保条約に縛ら
れない民間機の製造計画を呼びかけたのでした。
そして、終戦まで日本の飛行機（といっても軍用機だけでしたが）を設計などしていた
ひと５人が基本設計を行いました。そのあと、政府と防衛庁向けのメーカーが共同出資し
た特殊法人・日本航空機製造が設立され、戦後に大学を卒業した、まだ飛行機に乗ったこ
ともない若い技術者たちを集めて作業を進めていきました。そうして完成したのが、62～
67人乗りのＹＳ１１です。1965（昭和40）年に就航しました。
ＹＳ１１は、赤字により1972（昭和47）年に製造を終了しました。製造されたのは、試
作機２機を含めて182機、外国へは13ヶ国16エアライン、75機が売れました。いまでも、
短距離のローカル線で飛んでいます。
おっと、修学旅行の話に戻しましょう。
この修学旅行の目的の３番目に、「班別行動やその他の団体行動を通じて、協調性や責
任感を養い、友情を深め発展させる」とあります。最後の「友情を深める」は達成できた
と思います。
目的の前半はどうでしょうか。日本の学校は「団体行動による協調性」が好きなわけで
すが、本当にそれは達成できているのでしょうか。
日本人の旅のマナーの悪さはしばしば言われることですが、それは皮肉なことに、団体
行動を重視した日本の教育、修学旅行のせいだと言うひともいます。200～300人という大
人数で一斉に旅行することを教育として取り入れているのは、全体主義国家でない限りは、
おそらく日本だけでしょう、と私は思っています。
日本の教育現場で "団体" というのは、あくまでも仲間内の団体であって、他人どうし
の団体についてはほとんど教えられません。そのため、仲間以外はいないも同然という感
覚になってしまうのかも知れません。しかも、教員も仲間内の扱いで、教員の忠告は無視
しても許されるという風潮もあります。
行きの機内で、飛行中、座席を離れて通路を半分ふさいでトランプなどに興じていまし
たが、世界の非常識です。いつ、乱気流で揺れるかもわかりません。１秒で10ｍ機体が落
ちたら、シートベルトをしていないひとは、確実に天井に頭を強打します。その次の瞬間
には、床に全身が叩きつけられます。
自然落下を始めてから10ｍ落ちるのに約1.4秒かかるということは、物理で習ったでしょ
う。飛行機が乱気流で１秒間で10ｍ落ちるということは、滅多に起こることではないでしょ
うが、１度起これば、瞬時にして取り返しのつかない結果を招きます。
また、乗務員の指示を無視してケータイの電源を切らなかったのも法令違反です。一般
乗客なら、到着地で警察に引き渡されても仕方のない行為です。
携帯電話は、通話やメールの送受信をしていなくても、電源さえはいっていれば常に地
上の中継アンテナと電波のやり取りをしています。それで、あのアンテナマークの本数が
変わるわけで、また、高速で移動しても常に一番近い中継アンテナとつながって通話する
ことが可能なのです。地上の中継アンテナからの電波が弱くなれば、携帯電話から発する
電波は強くなります。そして、「圏外」の状態のとき、最も強く電波を出しているのです。
地下鉄では、心臓のペースメーカーをつけているひとにとっては、ケータイが「圏外」に
なっているときがもっとも危険なのです。また、「圏外」状態では電池の消耗も速くなり
ます。
また修学旅行に話を戻して、ケータイといえば、普段あまりケータイを使いこなしてい
ない私たちが、ケータイの有難さを実感したことがこの修学旅行でありました。
４日目の国際通りでの昼食を、前日のタクシーの運転手さんに教えてもらったお店でと
ことにしました。地元のお年寄りも食べに行く、本当の地元の料理が食べられるというお
店です。
国際通りから三越の前で平和通りに入って、三つ又を左に行ってすぐ左折、10ｍほどで
右の路地に入って左側にあると教えてもらったのですが、そのあたりは、ちょうど家１軒
分空いていて、食堂のようなものは見当たりませんでした。「なくなっちゃったのかなぁ」
と私たちが言いながらウロウロしていると、ちょうどその "空き地" 横の家の前のベンチ
に座っていたひとりのご婦人が「食堂ならあそこですよ」と指差して教えてくれました。そちらの
ほうを見て私たち一同、思わず「え～」と声を上
げてしまいました。これ（右写真）では通り過ぎ
ても仕方ありません。
縁側から直接あがるようになっている１階の座
敷はすでに10人ほどのお客さんでいっぱいでした。
２階に案内されてあと２～３人は入れそうなので、
平和通りの途中ではぐれた先生をぜひ呼ぼうとい
うことでケータイの登場となるわけです。
なるほど、ケータイって便利だなぁ、と実感し
たという次第です。
さて、そこには、煮込み、刺身、ジューシー
（焚き込みご飯）の３種類の定食しかありません。
私は煮込み定食。これはトン足と大根の煮込み
で、赤飯とスープのセット。煮込みのボリューム
を見よ。
値段を聞かないまま注文してしまったわけですが、ちょっぴり心配しな
がらお勘定をすると、600円也。ふ
たたび一同「え～」と驚いて、大満
腹、大満足で店を出たのでした。
そのあと市場のほうへ行くと、諸
君の何人かに会いましたが、諸君も
おいしいものを食べましたか？
私たちはいくつかのグループに分れ、私は３人で、国際通りの西端の県庁前まで歩き、
モノレールの駅前のデパートの中の喫茶店で20分ほどティー・タイム。そこでまたひとつ、
驚いたことがあります。何人かの女性客が円錐形に盛られたサラダらしきものを注文した
のですが、フォークをその山の真ん中に突き刺してグイッと持ち上げるとスパゲティが出
てきたのです（残念ながら写真なし）。
大盛りのスパゲティ！ 大きな皿の中ほどに上品に平らに盛られている東京のスパゲティ
とは大違いです。
そうか、沖縄のひとは女性でもあれ位食べるんだ、と、先ほどの昼食のボリュームにも、
なんとなく納得したのでした。
間もなく集合時刻です。私たちは、モノレールを２駅乗って、沖縄バスの営業所へ
行きました。
ここで問題です。ジャン！
沖縄のモノレールの愛称は何でしょうか？
ヒント：バスの中で歌いました。
あの歌、覚えていますか。「ゆい ゆい
ゆい ゆい ゆいま～るぅ．．．」
正解は、「ゆいレール」でした。
もし、バスガイドさんにあの歌を教わらなかったら、「ゆいレール」の意味も分からな
いままだったということになります。
こうして、沖縄修学旅行は無事に終わったのでした。
Ｍerry Ｃhristmas and a happy new year
２Ｇの教室もすっかりクリスマス。
私たち日本人は宗教など意識せず、単なるお祭りという感覚でクリスマスを楽しみます。
しかし、米国の多くのデパートの店員などは「Merry Christmas」と言わずに「Happy
holiday」と言うそうです。また、クリスマス商戦の広告にも「クリスマス」ということ
ばは使わないそうです。それは、キリスト教以外の宗教に気を使っているからです。
特にイスラム教は、「キリスト＝神」を否定してキリスト教から分れたのですから、気
を使わざるを得ません。
当然、そうした自主規制に反発するキリスト教の団体もあるわけで、毎年この時期にな
ると論争が繰り返されるそうです。私たち日本人にはちょっと理解の難しい問題です。
また、「Merry Christmas and a happy new year」も私は違和感を覚えます。年末に
happy new year はヘンだし、私たちにとっては、新年が最大の happy holiday なわけで
クリスマスとは厳然と区別します。
米国では、新年までクリスマス・ツリーを飾っておきますが、日本では、25日の夜には、
デパートなどは数時間のうちにお正月用に模様替えします。季節や暦の移り変わりに敏感
なんですね。今年の冬休みは長いぞ！ 有意義に過ごして下さい。それでは良いお年を！
『良いお年を！』《酔い落としを～！》『なんや、去年と同じやんかぁ』 〟
WEB版追記
冠詞「a」のついた a appy new year は「良いお年を」という意味だそうです。
したがって、年賀状では「a」は付けずに Happy new year としなければなりません。