優勝を目指してＡクラス確保
卒業式はいかがでしたか？
東京都教育委員会の通達どおりの "適正な" 卒業式でした。
卒業生が合唱コンの自分たちの歌声に乗って入場するというのは初めての試みでしたが、
これからの３年生の選曲に少なからず影響がありそうです。
さて、３年生になると時間割が人によって違いますから、それぞれの自分の進路に向け
て頑張る雰囲気が出てくるでしょう。勉強と班活のやり繰りに苦労しそうな人も多いよう
ですが、切り替えと集中で乗り切って下さい。
先日の進路講演会で、今年の３年生のあるクラスのようすを聞きました。そして、その
クラスの４分の１が国公立と早慶上智に（単に合格したというのでなく）進学を決めたと
いう話、そして、班活や行事に燃えた人も、その後の切替えと集中で力をつけていったと
いう話を聞いて、勇気付けられた人も多いでしょう。
新聞報道によると、今年の東大合格者数が地方公立高校は増加、ランク上位の常連私立
（開成、麻布、灘、ラ・サール、駒場東邦）は減少したそうです。
東大合格者数で25年連続１位を維持している開成は、今年の東大合格者が減ったことに
ついて、「今年の３年生は東大にこだわらず医学部志望が多かったから」とコメントして
います。
地方公立校で今年 "躍進" した高校は、義務教育のいわゆるゆとり教育に数年前から危
機感をもって手を打ってきたといいます。そこに共通した傾向は、①進度の速い長時間授
業（１コマ65分など）の実施、②きめ細かい指導の地道な継続の２点だということです。
そして、そうした学校の姿勢で学校の雰囲気が変わったということもあるようです。
それにしても、世間は東大合格者数でランク付けする価値観は相変わらずというより、
益々拍車がかかっているようで、一時期の東大偏重批判の声は、今は全く影を潜めてしまっ
た感があります。
東大は、国家公務員試験（上級）の合格者数がダントツで、いわゆるキャリア（幹部候
補）が多いことから、学力面でひとつの指標にはなるのでしょうが、逆に、東大出身の会
社社長や重役というのは多くはありません。
先日のある報道番組で、ＩＴや経済の専門家がライブドア問題について討論していると
き、堀江元社長の罪の意識について、「東大出身者は、法律の条文の解釈は非常に緻密に
できるのだけれど、その法律の理念や立法の背景という、文字になっていない部分の理解
ができない。東大中退の堀江氏も同じ傾向にあるようだ」というひとりの出演者の説明が
印象に残りました。と同時に、小山台の雰囲気とは違うな、とも思いました。誤解を恐れ
ず言うと、小山台の生徒は、そうした人間不在の緻密さよりも、人と人との関わりを大切に
してリーダーシップを発揮する人が多いのではないかと、私は思うのです。
諸君はキャリアよりも医学部に向いているのかも知れません。ってか？
ともかく、入試で苦労したくないとか、この辺でいいやという妥協をすることなく、こ
こへ行けたらいいなあと思う大学を常に思いながら勉強するようにして下さい。憧れもな
く妥協して入学しても、今ひとつモラール（morale＝士気）は高まりません。
これまたテレビで聞いたのですが、中日ドラゴンズと阪神タイガーズの監督を歴任した
星野仙一氏は、とりあえずＡクラスでいいと思っても、優勝を目標に頑張らないとＡクラ
スにも残れなくなる、といっていました。
モラル頼みの限界～罰則付きのポイ捨て禁止条例増加
最近、歩きタバコや空き缶・吸いがらのポイ捨て禁止条例に過料（※）を課す自治体が
増えているそうです。
※過料：証拠を押さえて裁判で決定する刑事罰である罰金や科料とは違い、過料は行政処分のひとつで、
自治体の判断で少額の金銭を徴収する罰則のこと。交通違反の反則金も過料。過料は前科には残らな
い。
2002年に千代田区で路上喫煙の禁止に罰則をつけて、賛否さまざま話題になりました。
公共の場での喫煙はモラル（moral＝道徳的）の問題で、叱られるからやらないという
のは本当のモラルではない、というのが代表的な反対意見でした。
千代田区秋葉原の定点で１日の吸いがらの本数を観測したところ、
条例施行１ヶ月前 995本
１年後 23本
２年後 13本
と、効果は絶大だったそうです。
品川区も千代田区の１年後に導入しました。ほかに、杉並区、大田区、板橋区、葛飾区、
小金井市、府中市、千葉市、松戸市、市川市、船橋市、柏市、我孫子市、富山市、広島市、
福岡市、札幌市、名古屋市などが罰則を制定、今年４月から、墨田区、川崎市でも施行さ
れます。同じような悩みを抱える自治体が次々に千代田区に追従し始めました。
一方、新宿区や横浜市、神戸市などは「マナー（※）の向上が大原則」「自発的な行動
でないと長続きしない」などとして過料の徴収には慎重です。
メーカーのＪＴ（日本たばこ産業）は、当然慎重派で、駅の近くなどに分煙設備を提供
するなどしています。
※マナーとモラル：この文の下敷の新聞記事の見出しは「マナー頼み限界？ 広がる罰則条例」となっ
ている。
マナー（manner）は「やり方、態度」、複数形で「行儀、作法」という意味で、人の表面上の動作に
関する言葉である。よって、マナーは「良い」とか「悪い」という形容をする。一方モラル（moral）
は、moral sense で「良心、正義感」という意味になるように、表面の動作ではなく、人の内面の状
態を意味する言葉である。モラルは善し悪しではなく「高い」「低い」と形容する。マナーより一段
上というのか深いというのか、そういう位置にある概念である。
私は、この路上喫煙やゴミのポイ捨てというのは、マナーではなくモラルに関わる問題だと考えてい
るので、新聞の見出しの「マナー」を「モラル」に変えて使わせてもらった。ただし、人の発言の引
用は「マナー」のままにしてある。
よく、携帯用の灰皿を持っている人を見掛けますが、バス待ちの列で吸われると煙くて
迷惑ですし、歩行喫煙は、手に持ったタバコが子供の目に入ったりという事故も実際にあっ
て、携帯灰皿を使う以前に問題が起こってしまいます。ですから、公共の場での喫煙禁止
というのは、人のモラルの向上を気長に待っている場合ではないというのが、過料を導入
する自治体の考え方です。たとえ、罰則があるからという理由でも構わないから、現実に
街なかから火傷や吸いがらがなくなればよいということです。もちろん、これをキッカケ
に一人一人のモラルも向上してくれれば、それに越したことはありません。
モラルの向上を待つか、罰則を設けてでもとにかく止めさせるか？ 諸君は自分の考え
を600字程度にまとめてごらんなさい。
これからは、自分の考えを、ただ頭の中だけで "なんとなく" という感じで終わらせる
のではなく、きちんと言葉にする練習をしていくことを強く勧めます。これは、単に入試
の小論文のためだけではありません。ヒトは言葉を使って考えることにより、いろいろな
概念を深く理解することが可能になるのです。言葉が貧困だと、理解も深まりません。
電車２分遅れで遅刻
昨年の４月25日に脱線転覆事故を起こして107名の犠牲者を出したＪＲ西日本は、今月
18日にダイヤを改正しました。
設定した所要時間に全く余裕がなかったために無理な運転を強いていたことが、あの事
故の大きな原因であることを踏まえて、たとえば、私鉄との競争が最も激しいＪＲ神戸線
の三ノ宮～大阪間の通勤時間帯の所要時間を、これまでの20～22分を23～24分にしました。
日本の鉄道の歴史の中で、所要時間を伸ばすようにダイヤが改正されたのは初めてだとい
うことです。テレビニュースでは「安全のためには５分早く起きます」と利用者のひとり
は言っていました。
諸君の中には、電車が２分遅れると学校に遅刻してしまうという人がかなりいるでしょ
う。そうした時間ぎりぎりの利用者の "苦情" もあの事故の原因になっているということ
は、ここで指摘しておきたいところです。
私が毎日利用している南北線は、３分ほどの遅れはしょっちゅうです。しかも、駅でも
車内でも遅れのアナウンスなどは一切ありません。いちいち放送するというほどもないと
いうことかも知れません。４～６分間隔の運転ですから、後続電車にはあまり影響はない
ので、こんなもんだと思ってしまえば何ともありません。それどころか、遅れたお陰で乗
れないはずの前の電車に乗れて、逆に２～３分 "得する" ことさえあるわけで、一概にモ
ンクは言えません。
千代田線は２～３分間隔なので、２分遅れると後続にも影響してしまいます。停車時間
はきっちり30秒、利用者は南北線より何倍も多いのに、千代田線はあまり遅れることはあ
りません。
私たちは、列車は時間通りに来るものだというのが当たり前のように感じていますが、
これは世界の中では結構珍しいことなのかも知れません。
足立の踏切事故
利用者の苦情が圧力となって現場に無理をさせるということは、ＪＲ西日本の事故の１
ヶ月前、３月15日に足立区竹ノ塚で起きた東武伊勢崎線踏切事故も同様です。
この事故は、ピーク時には１時間のうち56分間は閉じているという "開かずの踏切" に
おいて、電車通過の待ち時間の僅かの間だけ、保安員が手動で遮断機を２～３ｍ上げて歩
行者を渡らせるということを20年以上にわたって行なってきており、とうとうこの日に、
保安員が列車の接近を知らせるランプを見落して遮断機を上げてしまったために３人が列
車にはねられて死亡するという事故になったのでした。
もちろん、警報機が鳴っているのに遮断機を手動で上げるというのは規則違反であるの
ですが、それではなぜ、そのような違反が常態化していたかということを調べると、かつ
て保安員は、長時間待たされている歩行者から「何やってるんだ」と激しく怒鳴られたり
暴行を受けたりすることがあったという話が出てくるわけです。
自転車や徒歩で通学している人は、学校近くの踏切が10分も20分も開かない状態だった
らどうですか？ 徒歩なら駅の階段を通ることもできますが、自転車だと遮断機をくぐる
人も出てくるでしょうし、それを注意した保安員に悪態をつくかも知れません。
竹ノ塚では、警報機の音がうるさいと、近所から苦情が来たので、遮断機が下がったら、
警報音を消すということもやっていました。
サービス向上で列車の本数を増やせば、踏切は開かなくなる。このジレンマをどう解消
するか。高架化の要請は前からあったそうですが、経済的に無理だということで今日まで
きてしまいました。
そして先日、エレベーター付きの歩道橋が完成しました。犠牲者が出なければ動かない
ということでしょう。ＪＲ西日本も、私鉄との競争のためにこれまで絶対にできないと考
えてきたスピードダウンも、107名の死者と多くの負傷者を出して決断されました。
安全より経営優先の傾向は、航空会社も同様です。整備員の人数を減らしり、修理を先
延ばしにしたりと、今問題が続出しています。
私学での国旗・国歌の「適正指導」は？
先日のある都立高校定時制の卒業式で、国歌斉唱のときに卒業生14人のうち11人が起立
しなかったことを、都議会予算特別委員会で古賀俊昭議員（自民）が指摘し、中村雅彦教
育長は「国歌の指導が適切に行われていれば、学級の大半の生徒が起立しないということ
は到底考えられない。その場合、教員の指導力が不足しているか、学習指導要領に反する
恣意的な指導があったと考えざるを得ない」という認識を示しました。また、生徒に対す
る「適正指導」とは「わが国の国旗と国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育
てるとともに、入学式や卒業式の意義を理解したうえで、国歌を歌えるように指導するこ
と」と答弁しました。そして、そうした指導がなされていなければ「研修命令を含めた処
分の対象となるのは当然」という考えを表明しました。（産経新聞３月17日）
生徒が起立しなかったら教員が処分の対象となるというのは、今年からの動きです。こ
れは、生徒への圧力とも受け取れなくもありません。圧力は、掛ける側でなく、掛けられ
る側が圧力と感じれば圧力なのです。いじめがあったかどうかの判断と同じです。
ところで、都は、私立学校で「適正指導」が行われているかどうかを調査しているのか、知りたいところです。国旗や国歌を尊重すること、それに、学習
指導要領は、公立と私立の区別はないはずです。 〟