ご理解とご協力
近頃、電車のホームや車内放送で気になる言い方があります。
「女性専用車両にご理解・ご協力をお願いします。」
「理解」を要求するというのは傲慢なような気がします。この場合は協力を要請するだ
けで十分ではないですか。
「理解を願う」は役所がよく使う言葉ですが、それを「丁寧な言葉」と勘違いして一般
民間人も使うようになってきたのだと私は思います。「理解を願う」というのは「説明は
できないけれど言うこと聞け」という意味だと私は思っています。
もうひとつ、これも電車でのことですが、「後ろの電車が遅れていますので、運転間隔
の調整を致します」と言って、２分ほど駅に停車して、発車したときに、「運転間隔の調
整に御協力有難うございました」というアナウンスは、乗客（私）の感情を逆なでして、
大変不愉快です。強制しておいて協力有難うというのは、嫌味の何物でもありません。誘
拐犯人が被害者に「誘拐にご協力有難う」と言うのに似ています。
女性専用車両
千代田線は５月だったでしょうか、朝のラッシュ時間だけですが、女性専用車両が導入
されました。乗り入れている小田急線ではもっと前から導入されていたのを、地下鉄にも
延長したのです。
ところが、千代田線で最も混む１号車が女性専用になったおかげで、隣の２号車が大変
混むようになってしまいました。
しかし最近、この２号車に座っている若い女性が増えてきたように感じます。そのほと
んどは寝ています。その女性の前には年配の疲れきったような男性サラリーマンが吊革に
ぶら下がっています。
男性だけでも混んでいる車両に女性がわざわざ乗ってくるなよ、というのが私の偽らざ
る感想です。しかも座っているなんて許せない！
権利と言われればそれまでですが、「理解」はしかねます。
女性専用車両が登場したとき、いわゆるジェンダーフリーだの男女平等を言う人達から
のクレームは聞かれません。女性は10両全てが利用できるのに、男性は９両しか利用でき
ないという、公共機関が性別だけでサービスに差をつけるということは、厳密な意味で憲
法違反ではないでしょうか？ と愚痴りたくもなります。
２号車は男性専用にするべきだと思ったりしながら、女性専用車両になる前の時間の電
車に乗るようにしています。
「女性専用車両にご協力を」という言葉は、実は男性だけに言っているのではなく、女
性の方々にも言っているのだな、と思っているひとは、ひとりもいないでしょうね。
女性は、１号車に駆け込み乗車してくる男性に厳しい視線を投げかけるだけです。
男女別学が増える～米国
今アメリカでは、公立小・中学校で男女別学が注目されているそうです。1995年には全
米で３校だった男女別学が、今では250校以上になっているとのことです。
これは、別学の方が学力が伸びるという考えが広まってきて、2001年の、多様な選択肢
を認めることで競争原理の導入を目指した「新教育改革法」の制定に際して、ブッシュ大
統領が男女別学を「革新的な手法」と言及したことが、男女別学の推進に勢いをつけるこ
とになったためです。
また、脳科学の研究で、男子と女子で学習機能が異なることが分かってきたこともあり
ます。男子は、競争的で集団的な環境が望ましく、女子は、穏やかで少人数か単独の環境
の方が勉強がはかどるというのです。
イースト・ロサンゼルス地区に９月開校した「エクセル・チャーター・アカデミー」は
男女別学の実験をしています。それは、６年生の生徒を無作為に、男子だけのクラス、女
子だけのクラス、男女混合クラスに分け、同じカリキュラムで授業を行って成績を比較し
ようというものです。結果は１月に報告されることになっていますが、現時点で校長は、
「特に男子クラスに良い影響が感じられる。男子だけのクラスは失敗を恥ずかしがること
がない」と手応えを感じています。
別学について、主にリベラル派からは「性別に関する誤った固定観念を植え付けるもの
だ」と反発が起きています。
10年ほど前に、カリフォルニアでも男女別学校12校を作って実験をしたのですが、その
ときは目立った成果はなかったということで、１校を除いて11校は現在までに閉鎖されて
いるということです。
それに対して保守派からは、「ジェンダーという観念に過剰に反応する特殊なイデオロ
ギーによって行われたもの」と反発がありました。
小・中学生は、いわゆる第二次性徴の現れる時期で、互いに異性を意識し出し、諸君も
そうであったと思いますが、男子と女子は、概して仲がよくありません。性差が出てきて
互いに興味は持つのですが、むしろ対抗意識の方が強い時期です。15才くらい以上になる
と、互いを認め合い、パートナーにもなり得るように異性を見る目が変わってきます。し
かし、それゆえに今度は悩みも多くなり、精神的に不安定な時期でもあります。
日本では終戦までは、小学３年以降は「男女７才にして席を同じゅうせず」ということ
で、大学まで別学でした。戦後、ＧＨＱの命令で義務教育の男女別学が禁止されたため、
別学は高校と大学だけに存在することとなりました。さらにその後、男子だけの大学もな
くなりました。国公立においては、税金を男子だけに使うのは不公平という理由だったか
と思います。私学の場合は、学生確保という経営上の理由が大きいと思います。
公立高校も男女共学化が進められました。しかしその際、地方においては大変な反対が
ありました。特に進学男子校では、共学にすると大学への進学率が下がるという理由があ
りました。
米国に強制されて別学が撤廃されたのに、その本家の米国で今は別学が見直されている
というのですから、また日本の文科省あたりは、「それ！今度は別学だ！」と言い出すの
ではないでしょうか。そうすれば自然に名簿も男女別になりますもんね。
代理母～自分の孫を出産
驚きました。
代理母の問題は、日本では向井（高田）亜紀さんの件で注目されるようになりました。
女優・タレントの向井亜紀さんは、プロレスラーの高田延彦氏と結婚、2000年に妊娠し
たのですが、同時に子宮頚がんであることが判明し、妊娠16週で妊娠継続を断念、子宮全
摘出手術を受けました。
その後も夫の遺伝子を受け継いだ子供が欲しいと願い、米国人女性に自分たちの受精卵
を入れ、2003年、代理母出産により双子の男児を授かることができました。
翌年、日本へ帰国して品川区役所に双子の出生届を提出しましたが、区役所は扱いを保
留、法務省に相談した結果、出生届は不受理と決定されました。理由は、日本の戸籍法で
は分娩者を母親とすることになっているから、向井さんを母親とは認められないというも
のです。
向井さんは、不受理決定を不服として東京家裁へ処分取消しを申し立てましたが、東京
家裁は申し立てを却下。向井さんは東京高裁に即時抗告し、今年９月、東京高裁は「子供
の福祉の観点」などにより、品川区役所に出生届受理命令を下しました。
法務省は10月、「高裁の判断は従来の法解釈と異なり問題がある。議論を深める必要が
ある」ので最高裁の判断が必要として、最高裁に不服申し立てをするよう品川区役所に指
示しました。
というニュースの１週間ほどあと、今度は、日本で代理母による出産のニュースがあり、
しかも、遺伝子的には自分の孫に相当する子供を産んだというのですから、ニュースを聞
いた一瞬、何がどうなったの？ という感じでした。
これは、やはり子宮を摘出した30代の娘の卵子を50代の母親に入れ、代理出産したので
す。英米では例があるそうですが、日本では初めてのことです。さらに、外国では自分の
姪や甥を出産する、即ち、兄弟姉妹間で代理母になるという例もあるそうです。
日本の戸籍法では、実際に産んだ50代の母親がその子供の母親ということになります。
こうなると、向井さんの例よりももっと複雑に、「親子とはいったい何か」ということ
になります。
まったくの他人が代理母になる場合、最も多い問題は、出産した女性が子供を手放さな
い、あるいは、更なる報酬を要求するというケース。その意味で、「母親が孫を出産する
のがより良い選択である」というのが、今回、この代理出産を実施した医師の考えです。
親子とは、いったいなんでしょうか。家族とはなんでしょう。
「産みの親より育ての親」という言葉もありますが、言葉通りの意味を普遍的に当ては
めることができないことは明らかです。この言葉に適した場面を正しく判断して使わなけ
ればなりません。
家族とは、という問いは、夫婦別姓問題でも出てきます。姓が異なると家族関係が崩壊
するという意見があります。しかし、よく考えてみれば、日本人全員が姓を名のるように
なったのは明治以降のまだ100年余りの間しかありませんから、同姓で家族を形成すると
いうのは、別に日本の伝統でもないような気もします。お隣の中国や韓国では、通常、夫
婦は別姓ですが、日本より家族が崩壊しているという話は聞きません。
最近は、親が子を殺し、子が親を殺すという、実にやりきれない事件が増えています。
特に最近の、親が子を殺すというのは、親が成熟していないせいではないかという感じが
します。"躾のつもり" で死ぬほど殴る、食事を与えない．．． これは異常です。親は
"発育不全" です。子供を産むのに免許が必要だという話をする人もいますが、どうも冗
談ではなくなるような気がします。
また、かつては、親殺しは、尊属殺といって他の殺人より罪が重かったのですが、法の
もとの平等に反するということで1973年に最高裁により憲法違反であるとされて、現在で
はこの条文は削除されています。これにより、親も他人も同じ扱いということが一層浸透
して、家族関係が希薄なものになってきたように感じます。いや、逆に、核家族化、少子
化で関係が濃厚過ぎるから殺人にまでになるのかも知れません。
代理母を頼んででも子供を欲しがる人、生まれる子供を次から次へ、虐待して死なせて
しまう人．．． 前の首相のように、人生いろいろ、人もいろいろなどと、呑気にはぐら
かして済む問題ではありません。
核シェルター
今、一般家庭に設置できる核シェルターが注目されているそうです。
もちろん、あの北朝鮮の核実験がきっかけです。スイスやスウェーデンでは一般家庭へ
の普及率が90％以上と、欧米では珍しくない核シェルターですが、日本では冷戦時代でも
その必要性を感じることもなく、普及率は１％未満と言われています。
核シェルターは、核や細菌・毒ガスばかりでなく、地震や集中豪雨にも強いとされてい
て、自然災害対策としても注目されそうだということです。私も、寝室かどこか１室を鋼
鉄の箱にしておけば、地震のときに押し潰されずに済むのではないかと思ったりしていま
す。
核シェルターというと、私が教員になったばかりのころ、「核シェルターを作ることは、
核兵器の使用を容認することと同じだから、核シェルターは作るべきでない」という主張
を聞いて、驚いたことを記憶しています。すなわち、守れば攻撃される、無防備なら攻撃
されないというわけです。
自分の身を守るのに、相手の善意に期待して自分は無防備でいるというこの発想は、ま
さにこれまでの日本の平和主義の根本なのでしょう。
実際、自治体の条例で「我が町は無防備である」と宣言することで、無防備地域へのい
かなる攻撃も禁止しているジュネーブ協定追加議定書（1949年締結）によって守られると
して、無防備宣言を条例化しようという運動があります。
ある意味、究極の理想なのかも知れません。日本国憲法前文には、「平和を愛する諸国
民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を確保しようと決意した。」とあります。
その憲法の改正に、安倍総理は意欲を見せています。諸君はその国民投票に参加できる
はずです。自分の意見をしっかり持てるように、幅広く勉強してください。
さて、今年も間もなく終わります。何よりも健康に気をつけて、１日１日を
着実に、悔いの残らないように過ごして下さい。 〟