卒業おめでとう！
Ｇ組39名、第59期生275名は今日、小山台高等学校の卒業が認められました。
おめでとう！
義務教育の、押し出されるような卒業とは違い、本校の指定した内容の学習・活動を全
うできたからこそ認められた卒業なのです。
やはり、３年というのは、過ぎてしまうととても短く感じます。しかし、諸君のその中
身は、同じ３年でも中学校とは比較にならないくらい濃く、そして、精神的にも肉体的に
も変化の大きな３年だったに違いありません。
言い古された言い方ですが、卒業は、次のステージの始まりでもあります。
進路
大学や専門学校進学を決めた人、もう１年頑張る人、それぞれ次のステップに踏み出し
ます。合否は別として、Ｇ組の諸君の進路の方向を、高校の教科・科目に対応させて分類
してみました。これは私の独断による分類ですから悪しからず。
国語（日本文学）１／地理歴史（史学）１／
公民（経済、経営、社会、文化、人間）14／数学 １／
物理（電気電子、機械、建築）４／化学（薬、素材）４／生物２／
体育（スポーツ科学）２／芸術（音楽、映画、演劇）３／外国語（国際）１／
家庭（家政）１／情報２／教育３
この学年は、いわゆる理系と文系にはクラス分けしませんでしたから、ご覧のようにク
ラス内で多様性に富んだ進路になっています。
《いや～、みんな、卒業おめっとう！》
『おめでとう。「入学おめでとう」って言ったのがついこの間のことようや。』
《ほんまや、新年の挨拶の次が、もう、卒業やもんなぁ。》
『こら、それはまた意味がちゃうやろ。時間の問題やのうて、アタシらがさぼっておった
というだけの話やないか。』
《アタシらって、アテらの意思でそうなったんとちゃうやんか。コイツが一人でサボって
アテらはその煽りを喰ったんやろ。アテらは被害者や。》
『コイツって、誰指差しとんねん、偉そうに。オマはんは自分を何や思てんねん。』
《そうやぁ。それがわからんまんま３年が過ぎようとしておる。デカルト（※）はんまで
引っ張り出して考えたことあるのになぁ。》 （※）通算019号(2004年10月５日)
『さあ！ 今日はみんなの門出の日や。アタシらのことより、みんなの未来について考え
ようやないか。』
《未来なんて、珍しいなぁ。いつも過去の話ばかりしておったくせに。》
『少なくとも、今現在、どういう話が進行しているかぐらいは見ておいた方がええな。』
《そういえば、みんなの中には、この１ヵ月以上、受験で忙しくて、世の中見いひんで過
ごしてきた人もおるやろうしな。》
美しい国
安倍政権のメイン・テーマです。誰も反対できないテーマではありますが、諸君は、ど
のような国を "美しい国" だと考えますか。
文字どおり、国土の
校歌にもあるとおり、教室から見晴るかす富士山は大変美しく見えますが、多くの人の
願い叶わず、いまだに世界文化遺産に登録されないでいます。理由は「汚い」し「汚染を
防ぐ手立てが確立されていない」からです。日本人は、富士山は世界に自慢できるほど美
しい山だと思っていました。しかし、ユネスコはそんな表面だけの情緒的な美しさではダ
メだと日本人に教えてくれました。富士山は、世界一ゴミの多い山と評されています。
捨てられているものを片付けるのはもちろん大切なことですが、後からどんどん捨てる
者が野放し状態になっていて、日本人みんなが富士山を大事にしているのだということが
アピールできなければ、世界遺産登録は無理なのでしょう。
ですから、富士山が世界遺産に相応しいかどうかの審査は、日本人の公共心・道徳心が
審査されるのと同じであると私は感じています。富士山に限らず、国土を美しくするには、
そこに住む私たちが公共心・道徳心を取り戻す必要があるということです。
ルールを守らない方が快適
ゴミ問題に限らず、日本人の道徳心の崩壊は至る所で言われています。
富士山だけでなく、たとえば、高速道路のサービスエリアのごみ箱の周辺は、家庭ゴミ
であふれていると言います。近くの公園でもそういう光景が見られます。
歩きながら飴やガムを食べようとして、小さな包み紙をそのまま足下に落としていく人
もしばしば見掛けます。
私が毎日利用している駅前の違法駐輪もひどいものです。点字ブロックの上だろうが、
バス停の近くだろうが、３ｍ程の広い歩道も、通路の幅が１ｍもない部分もあります。そ
こへ、バス待ちの列も入っていきます。自転車を取りに来る人の多くは、自転車を避けて
バス待ちに並んでいる人には何も言いません。それどころか、自転車を出すのに邪魔だか
ら退けと言わんばかりの傲慢な態度の人すらいます。
優先席に座ってケイタイを操作しているのは、若い人とは限りません。
最近、注目されているのが、給食費の不払いです。払わずに済ませられるなら払わない。
時効の２年が無事経過すればラッキーという程度の考えでしょう。中には、「義務教育は
無償のはず」といって、はなから払う意志のない人もいるようです。
これらの行為に共通していることは、だれも注意しない、あるいは注意を無視しても不
利益は被らないという点です。給食費は、最近ようやく、法的手段に訴える自治体が出て
きたところです。しかしまだ、子供への気兼から、慎重な自治体も多いようです。
だれも注意しない、ペナルティーもないのなら、ポケットにゴミなど入っていない方が
快適なわけですから、小さな紙くずくらい捨てちゃえばいい、と思う人が増えても不思議
ではありません。どうせ風に飛ばされてどこかへ行ってしまうか、誰かが掃除してくれる
わけだし。
自転車も、駅や店の近くに留めた方が便利です。撤去する前に警告してくれるので "安
心" です。馬鹿正直にわざわざ離れたところの駐輪場に行く煩わしさを我慢して何の得が
あるのでしょうか。
いろいろルールは作るけれど、それを守らなくても何も不利益にならない、守らない方
が便利で快適、むしろ、不便や不公平感を我慢してルールを守る人の心にイライラが募っ
てしまう世の中では、
国破れて山河も残らず
年長者を敬うということが当然のことであったのが、親や先生を敬うということが天皇
制を支え、あの戦争につき進む原動力となったという占領軍（ＧＨＱ）の認識に基づき、
敗戦後の日本が再び結束することのないようにするという占領政策により、憲法第13条の
「個人の尊重」や第24条の「家族生活における個人の尊厳・両性の平等」を前面に出し、
それまでの日本人の価値観・公共心・道徳心の大転換がなされたのでした。
その世代の人達は、価値基準を取り戻せないまま、戦後の子育てをします。親子の間で
価値観に大きなギャップが生じ、特に父親は、家庭での居場所もなくなり、がむしゃらに
働きました。
そうして育てられた子供は、親子間の上下関係という感覚が希薄で、自分の我が子とは
仲良しの友達のような関係でいることが "ニュー・ファミリー" としてカッコイイという
マスコミやファッション業界の宣伝に乗せられてしまいます。核家族化も進んで少子化が
始まり、近所付き合いも減ります。
"ニュー・ファミリー" で育てられた子供が今、小中学生ぐらいの子供の親でしょう。
終戦後の大転換を強いられた世代から３世代目です。
私が先日行った小学校の授業参観では、さすがに教室内では静かでしたが、一歩廊下に出ると親
どうしで無遠慮な声でお喋りをしていました。目
の前から教室の光景が消えれば、教室とは完全に
別の空間という感覚なのでしょう。
幼稚園の入園式や卒園式では、式場で親やおじ
いちゃん、おばあちゃんの私語は絶えません。
先日、「我が子に注意すること」の国際比較が
報道されました。この状態が４世代目に受け継が
れようとしているのです。
ところで、韓国や中国でも、それぞれが50％を
切っていることに私は意外な感じがしました。
この調子でいくと、日本はどうなってしまうのでしょうか。心配です。
まに残るのではなく、ごみに埋まったり切り崩されたりした無残な姿を残すだけというこ
とになりそうです。
（※）杜甫の漢詩「春望」
今の日本は、「国破れる」などということはあり得ないと言い切れますか。戦争でなく
ともあり得るかもしれません。諸君がこれから生きていく世は、決して安泰ではありませ
ん。これは悲観的な話をしているのではなく、諸君の奮起を期待する、私からの激励と受
け取って下さい。
歴史を知らないと未来は切り開けない
米国の下院に今、従軍慰安婦問題をめぐる対日非難決議案が提出されているのを知って
いますか。かつて、韓国政府が従軍慰安婦の強制連行を日本政府が認めるよう強く迫った
とき、強制性さえ認めれば韓国は鉾を収めるだろうという期待で、資料などの証拠が見つ
からないまま、元慰安婦という韓国人16人の証言だけを元に、1993年８月に、強制性を認
めて謝罪する内容の談話を、河野洋平内閣官房長官（当時）が閣議も経ずにを発表してし
まったのです。その結果、鉾を収めるどころか、ますます日本非難はエスカレートし、
1996年以降、８回も（なぜか）米国下院に、対日非難決議案が提出されてきたのです。議
案の根拠は、河野洋平談話です。過去７回はいずれも廃案になっていますが、今回は、先
の中間選挙で民主党が勝ったため、議案が可決される可能性も出てきているのです。
それで、安倍首相は河野談話の見直しを決め、たとえ、対日非難決議案が下院で可決さ
れても謝罪する必要はないと述べました。
さて、安倍総理の決断は正しいのか。この判断には歴史の知識が必要です。未来は、正
しい歴史の知識（"認識" ではありません）を持っていなければ開くことはできません。
諸君は、崩壊しかけている日本を立ち直らせなければなりません。お願いします。
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私は、卒業と言うと、「愛と青春の旅立ち」（ﾃｲﾗｰ･ﾊｯｸﾌｫｰﾄﾞ監督）を思い起します。
リチャード・ギア扮するザック・マイヨーという青年は、少年時代に母親を自殺で亡く
し、酒と女に溺れた海軍准将の父親との生活に愛想を尽かし、カレッジを卒業後に海軍に
入り、士官学校に入学します。
フォーリー軍曹（ルイス・ゴセットJr.）は、徹底的に生徒をしごきます。
卒業式では、軍曹が最後の命令を発します。「第1581期卒業生 解散！」 すると、卒
業生は少尉に昇格します。少尉というのは、軍曹より上です。フォーリー軍曹は、卒業生
一人一人から記章を受け取り、いまや自分より上の位になった卒業生に対して直立不動で
「おめでとう、少尉殿」と言いながらビシッと敬礼します。
～～～～～～～～３月下旬以降、目次を http://www1.ocn.ne.jp/~fukugan/ に掲載予定。 〟